2020 Fiscal Year Research-status Report
エクソソーム、炎症マーカー、遺伝子の解析による糖尿病における認知症発症の病態解明
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19K16968
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
松原 正樹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (10794571)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / 血糖変動 / 持続血糖測定 / 認知機能低下 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者では認知症のリスクが倍増することが知られているが、その機序については未解明な点が多く、認知症発症予防のための血糖管理指標も不明である。最近の横断研究で血糖変動と認知機能の関連が示唆されているが、我々が知る限り縦断研究は報告されていない。本研究は、持続血糖測定機器を用いた血糖変動と認知機能評価を行い、並行してエクソソーム解析、炎症マーカー・APOE・TREM2などの測定を行い、認知症発症予防を目標とした新しい血糖管理指標を確立すること、糖尿病患者の認知機能低下と関連するバイオマーカーを明らかにし糖尿病の認知症発症の病態を解明することを目的とする、世界で初めての縦断研究である。
本研究は2年間の縦断研究であるため、途中経過について報告する。 2020年6月まで患者登録を行い、合計109名の登録を終えた。事前に行ったサンプルサイズ計算では、α=0.05、power 0.90でN=76、power 0.95でN=92となり、縦断研究であるため20%の脱落を考慮するとそれぞれN=91、N=110となる。以上から十分な登録数が得られたと考える。 またProtocol論文について査読付きの学術誌に投稿し掲載された(Diabetes Ther. 2020 11:2729-2737)。 加えて、登録時のデータ解析(横断結果)を行い(登録患者全109例中104例が対象)、MRAでWarfarin-Aspirin Symptomatic Intracranial Disease法 (WASID) 70%以上の高度狭窄を認めた9例(全て内頸動脈サイフォン部)と高度狭窄のない95例を比較したところ、前者のmean amplitude of glycemic excursions(MAGE)は後者と比較して有意に高値で、血糖変動と頭蓋内血管狭窄との関連が示唆される結果を得たため、現在論文投稿の準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
患者登録に遅れが生じたため、当初は2020年3月までを登録期間としていたが同年6月まで延長した。その結果、本研究は2年間の縦断研究であるため、全登録患者のデータ収集終了にも約3か月の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り進捗にやや遅れが生じている以外は順調に推移している。 ただしCOVID-19流行に伴う患者受診控えが散見され、きちんと定期受診して頂くように指導する、また本研究に伴う日常診療以外の受診が無いように検査日などを一括するなどの工夫をしている。
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Causes of Carryover |
計画にやや遅れが生じ、登録1年後に採取した炎症バイオマーカー(高感度CRP、IL-6)などの測定がまだ行えていない検体があるため。 (本血清サンプルは凍結保存し、外部検査機関に測定を依頼する際に、持ち出しの手間などを考慮してある程度検体数が蓄積してからまとめて受託している。)
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