2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K16969
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
鹿野 耕平 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (10835135)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨格筋再生 / 毛細血管周細胞 / Ninjrin1 / 骨格筋幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「毛細血管幹細胞(CapSCs)を含む周細胞(PCs)Ninj1は①毛細血管の形成、さらに②CapSCsの骨格筋分化の制御を介して、骨格筋組織の維持・再生に重要な役割を果たす」という仮説を立て、それを検証するため、(目的1)CapSCsやPCsが骨格筋組織再生に寄与する程度を評価した。(方法1)NG2-DsRed/GFPマウスからCapSCsを分離調整(蛍光タンパク発現により細胞移植後も追跡が可能)し、筋芽細胞株との共培養または骨格筋挫滅(cardiotoxin:CTXによる筋挫滅)マウスモデルに移植し筋再生能(外因性の効果)を評価した。(結果1)筋芽細胞株との共培養で、CapSCsは優れた骨格筋分化能を示し、またCTXによる障害筋組織への導入により高い組織残存性と共に骨格筋分化や血管新生能を示した (論文投稿中)。(方法2)成体NG2-CreERT/tdTomato(周細胞の生体内追跡を可能にする)マウスを用いて、組織内在するPCsをタモキシフェン投与により赤色蛍光を発現させ、PCs由来の細胞による筋組織再生維持能(内因性の効果)について評価した。(結果2)追跡開始後、1週間でPCs由来の筋線維を認め、2週後にはヒラメ筋のほぼすべてがPCs由来の筋線維に置き換わった。またタモキシフェン処理後半年以上追跡を行ったがPCs由来の筋線維数は減少することなく維持されたことから、PCsから持続的に筋細胞が供給され、骨格筋を維持している細胞であると考えられた(論文投稿準備中)。以上からCapSCs及びPCsは骨格筋組織維持・再生に寄与する細胞であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績によりCapSCsを含むPCsが骨格筋組織再生に関わる細胞であることが明らかになったことから、研究計画調書に記載した1年目の実験計画である「(目的1) CapSCsやPCsが骨格筋組織再生に寄与する程度を評価する」を達成したと考える。また、2年目以降の実験計画にある「(目的2)障害骨格筋の筋再生における周細胞Ninj1の役割を評価する。」に向けて、①NG2特異的Ninj1欠損マウスで障害筋内の毛細血管形成能や筋再生能の評価、また②健常CapSCs及びPCs細胞移植による病態改善効果の評価に向けて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
新生血管のECsチューブにPCsが接着して構造的に安定した機能的な毛細血管が形成される。我々は、血管新生時にPCに一過性に発現し、ECとPCとの接着を介して成熟した毛細血管の形成を誘導する因子=Ninjurin1 (Ninj1)を見出した。また、CapSCsを含むPCsが骨格筋組織再生に関わる細胞であることが明らかになった。以上から毛細血管PCsの中でもCapSCsが骨格筋の維持・再生に寄与すること、さらに、Ninj1は、PCsあるいはCapSCsにおいて、毛細血管形成や骨格筋分化に関与していることが推測された。この仮説を検証するために、実験計画にある「(目的2)障害骨格筋の筋再生における周細胞Ninj1の役割を評価する。」を進める。計画内容としては、①NG2特異的Ninj1欠損マウスで障害筋内の毛細血管形成能や筋再生能の評価、また②健常CapSCs及びPCs細胞移植による病態改善効果の評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
試薬など物品費については、最小限の実験により十分な結果を得ることが可能であったため物品支出を抑えることができたが、次年度は動物実験施設の新規移設もあり実験動物の繁殖・管理・購入など高額出費が予想されるため、それに充てる予定である。また、学会発表を予定していたものがキャンセルになったこともあり、出張費を次年度に繰り越し、昨今流行している感染症が落ち着き学会活動が再開次第、出張費を計上する予定である。
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