2020 Fiscal Year Research-status Report
病変局所のIL-23産生マクロファージを標的とした炎症性筋疾患の新規治療開発
Project/Area Number |
19K16974
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
梅澤 夏佳 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (90801530)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に筋炎患者の筋生検検体から単核球をソーティングした検体について、ライブラリが完成しシークエンスが完了し、その解析を行った。CD45+細胞由来のデータを用いた主成分解析では、CD14+細胞、CD4+細胞、CD8+細胞ごとのクラスター形成を確認した。さらに、各細胞種の中でもいくつかのクラスターに分かれた亜集団の形成を認めた。細胞種間で有意差をもって発現量の異なる遺伝子を抽出したところ、各細胞種の特徴となる遺伝子群が含まれた。これらの結果から、RNAの抽出やライブラリ作成の条件については今回の方法が適正と判断できた。 CD14+細胞でCD4+/CD8+細胞と比較して有意に発現が高い、もしくは低い分子を抽出したところ、一部でDamage Associated Molecular Patternsの認識に関連する分子を認めた。見出した分子について、筋生検検体で蛋白レベルの発現を検討した。 末梢血のCD14+細胞と、筋検体由来のCD14+細胞の発現分子について比較を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年4月時点で、10月以降産休取得の見込みとなったため、2020年度は2019年度までに提出済み検体のシークエンス結果についての解析と購入済み試薬でのin vitroの検討を行った。予定通り2020年10月から2021年3月31日まで産休を取得した。これにより、2021年度に予定していた新たなシークエンスのための検体採取や in vitroの検討を2022年度以降に実施する方針とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度に実施予定であったが未実施の検証として、1)2検体目の筋生検検体についてのソーティングとシークエンス実施、2)in vitroでのIL-23誘導実験を行う予定である。 1)については、炎症性筋疾患は自己抗体や筋外合併症等の臨床的特徴もヘテロな疾患であることから、2019年度に実施した1検体の解析だけでは不十分であり、複数患者の検体を解析することで臨床的特徴の差異を説明しうる免疫学的特徴を探索することが可能となる。このため、臨床情報を吟味した上で、2検体目以降の検体についてsingle cell RNAシークエンスを行う。1検体目、2検体目それぞれにおいてIL-23産生マクロファージサブセットを同定し、C型レクチン受容体(CLR)を含めたパターン認識受容体の発現に注目して解析を行う。シークエンスで抽出された候補遺伝子について、筋生検検体を用いた免疫組織染色により蛋白レベルの確認を行う。 2)は、”筋由来の液性因子はマクロファージからのIL-23産生を誘導する”という仮説を検証するためであるが、2019年度では仮説を支持する結果は得られなかった。原因として、マクロファージの培養条件やプライミングが不適であった可能性が考えられたことから、IFNγの前投与やサイトカインとのコンビネーションなど培養系の条件検討を行う。 2022年度は2021年度の1)2)で得られたIL-23産生マクロファージの相同性を検証すること、また筋炎モデルを使用したCLRの阻害による治療的有効性について検証する。 2023年度は成果発表、論文作成を予定する。 産休育休により半年の研究中断期間があり当初の予定よりも約1年程度遅延しているため、研究期間の延長申請中である。
|
Causes of Carryover |
2020年10月以降、産休を取得したため、従来予定した検討を行うことができなかったため。 2020年4月から10月までは予算を使用せず、2019年度までにシークエンスに提出した検体の解析に注力した。 次年度以降は、2020年度に予定していた、2検体目以降の筋生検検体由来の単核球のソーティング、並びにin vitroでのMPからのIL-23誘導実験を行う。
|