2021 Fiscal Year Research-status Report
病変局所のIL-23産生マクロファージを標的とした炎症性筋疾患の新規治療開発
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19K16974
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
梅澤 夏佳 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (90801530)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
1)傷害を受けた筋線維由来の液性因子がマクロファージからのIL-23産生を誘導するかをin vitroで検証した。マウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)を培養し、筋炎動物モデルから採取した筋組織のホモジェネートを添加して、培養上清中のIL-23をELISA法で測定した。BMDMは、M-SCFで培養後に IFNγ、IL-4、IL-10、IL-13等のサイトカインでpolarizationさせ、幾つかの条件を置いた。ホモジェネートを添加する前の段階で、classically activated に近いIFNγ+LPSなどで培養した上清中では、IL-23の産生が見られ、このような系ではホモジェネートの添加により上清中のIL-23濃度は低下した。また、他の条件のBMDMを用いた場合の上清中のIL-23の産生量は軽微であった。筋組織のホモジェネート内に細胞の活性化状態について抑制的に働く分子も含まれている可能性や、上清中のIL-23測定では感度が劣る可能性が考えられた。
2) 1)の結果を受けてホモジェネートは使用せず、IL-23誘導に関与すると予測しているC型レクチン受容体のリガンド分子のリコンビナント蛋白をBMDMに添加し、IL-23の産生についてはフローサイトメトリーでIL-23の細胞内染色を行った。当教室で筋炎モデルで病態に関与することを示したHMGB-1や、Zymosan等複数のC型レクチン受容体のリガンドによる培養で、IL-23の産生誘導を確認することができた。IL-23産生の評価系として、FCMでの細胞内染色が有効と考えられた。
3) 2020年度までに1検体行った患者筋生検検体由来のマクロファージのsingle cell RNAシークエンスについては、患者検体からの細胞単離は行ったものの、シークエンス予算の見通しが難しく、ライブラリー作成まで到達しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度はin vitroの系を用いたマクロファージからのIL-23産生誘導を中心に進めたが、最も重要と考えていた傷害筋由来の液性因子を用いた結果、抑制的な分子も含まれている可能性を示唆する結果となった。また、実施したin vitroの系はマウスのマクロファージを用いた系であり、ヒトのマクロファージを用いた系は、ヒト筋細胞株(当初の計画では同じ研究室内で入手可能な見込みであった)が入手できず、進めることができなかった。 傷害筋を用いた系は実施した結果予想と反していた点では順調と言えないが、リコンビナント蛋白を用いた系ではIL-23の産生が誘導でき、2020年度に遅延していた分についても当初計画した流れに追いつき進めたが、標的としているC型レクチン受容体の阻害実験まで達しておらず、全体としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ex vivoの傷害筋由来の液性因子については、様々な因子の混在が考えられ予測通りの結果が得られなかったため、T細胞による抗原特異的なマウス筋細胞株のnecroptosis誘導の系からの培養上清を用いて、筋傷害とMPからのIL-23産生誘導の関連につき検証し、C型レクチン受容体の阻害を行うことでその関与を検証する方針である。 また、フローサイトメトリーでのIL-23の細胞内染色は再現性が高く安定した評価系として今後も使用できる可能性があり、マウス筋炎モデル由来のMPのサブセット解析として、マルチカラーでの表面抗原と細胞内IL-23染色を行えるよう系を確立する方針である。 ヒト検体を用いた検証は限られる見込みだが、上記の検証からC型レクチン受容体の筋炎病態への関与について検証をすすめる。
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Causes of Carryover |
2020年度に産前産後の休暇および育児休業に伴い約半年の研究中断期間があった。2021年度予算については当初の計画通り予算請求したため、請求予算額に比較して約1年の計画の遅れがあるため次年度使用額が比較的多く生じた。下記の備考欄に記載するように、事業を1年度延長するよう申請し受理された。
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