2020 Fiscal Year Annual Research Report
サルコペニアにおける(プロ)レニン受容体/Wntシグナル系を介した機構の解明
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19K16994
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
吉田 尚弘 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (30644893)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
全身に(P)RRを発現させた遺伝子改変マウス((P)RR-Tgマウス)を作成したところ、3ヶ月齢の同マウスでは野生型マウスと比較し、著しい体重減少を呈し、著明な速筋優位の骨格筋萎縮・筋力低下を呈していた。 速筋優位である腓腹筋の組織学的解析では、筋線維の大小不同、核の増加、中心核、間質の線維化がみられ、筋組織の破壊と再生が繰り返されていることが示唆された。また、TNFα, IL-1β, Col1a1, Col3a1の遺伝子発現が上昇しており、炎症、線維化の亢進が確認された。また、野生型マウスと比較し2b型筋線維(速筋)の数が著明に減少していた。また、p16, p21などの老化マーカーが亢進しており、β-カテニン経路も著明に活性化していた。 そして、Wntシグナル阻害薬DKK-1の投与により(P)RR-Tgマウスで認められた炎症、線維化、老化マーカーの亢進は有意に抑制され、筋重量は有意に増加した。 さらに、(P)RR-Tgマウスおよび加齢マウスに、(P)RRとWnt受容体のLRP6との結合を阻害する(P)RR中和抗体を投与することで、カルジオトキシン投与による筋損傷後の骨格筋再生能は改善した。 また、(P)RRを安定発現させたC2C12筋芽細胞では、活性化β-カテニンの上昇による筋分化能の低下が認められた。 最終的に、(P)RR-Tgマウス、加齢マウスおよび高齢者の速筋においてYAPシグナルが亢進しており、(P)RR-TgマウスにYAP阻害薬Verteporfinを投与することでWntシグナルに影響なく筋萎縮が改善し、DKK1投与によりYAPの下流のターゲット遺伝子のAnkrd1, CTGFの発現が抑制されたことから、Wntシグナルの下流においてYAPシグナルがサルコペニア発症に関与していることが考えられた。
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