2019 Fiscal Year Research-status Report
リソソーム機能から探るパーキンソン病の分子病態およびその制御に基づく新規治療戦略
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19K16998
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 隼 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (60822905)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DNAJC13 |
Outline of Annual Research Achievements |
リソソームおよびその成熟を支える細胞内輸送機構はαシヌクレイン凝集・伝播といったパーキンソン病脳内病理形成に深く寄与していると推測されるが、その詳細な制御機構については未解明の部分が多い。一方でリソソーム成熟は、エンドソームからトランスゴルジ網あるいは細胞表面への積荷分子輸送を担うレトロマー複合体とよばれる細胞内輸送機構に依存していることが知られている。これらの事実をもとにパーキンソン病の病態にリソソーム障害が関与するか否かを調べる目的にパーキンソン病関連変異遺伝子の中で、これらの分子輸送を担うと考えられている遺伝子を導入し免疫染色によりエンドソーム関連タンパクを染色し、細胞を観察した。その結果Park21の原因遺伝子であるN855S変異型DNAJC13ではエンドソームにクラスリンの蓄積がおこりエンドソームの成熟が障害されている様子が観察された。また、DNAJC13とクラスリンとの結合について免疫沈降で確認し、結合部位がパーキンソン病関連変異の存在するIWN1ドメインにあることを突き止めた。線虫を用いたDNAJC13の機能障害変異による実験でも同様のクラスリン蓄積が報告されており、パーキンソン病関連DNAJC13変異体も類似の機能障害があることが推定される(Shi A, EMBO J. 2009)。また、DNAJC13による輸送機能を担っているとされているC末端を欠損させた変異体を用いて行った実験でも同様の結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DNAJC13変異においてエンドソームの成熟障害を認めることができた。一方で、その他の変異体についてはまだ評価が途中である。さらにこれらの観察に想定以上に時間がかかりαシヌクレインの凝集や伝播については評価が出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
エンドソームの成熟障害を認めたDNAJC13変異体について、リソソーム機能の評価や、レトロマーをはじめとしたタンパク輸送機能についてより詳細に検討する。 また、引き続きその他のPD関連変異遺伝子を細胞に導入し観察を続ける。 また、これらで認めた異常についてはレトロマー安定化剤でのレスキュー効果を確認する予定である。
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Research Products
(1 results)