2023 Fiscal Year Research-status Report
脳電気刺激の新たな挑戦:微小電流による記憶ニューロモデュレーション法の開発
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19K17004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武山 博文 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (10808489)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 記憶 / 海馬 / 順序記憶課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度では、ヒトを対象とした研究では、2019年度にニューロモデュレーション刺激の効果を評価するための順序記憶課題を開発し、てんかん外科症例2例において、課題遂行中の海馬の脳波活動を頭蓋内電極から実際に記録し、解析を進めている。今後、さらに症例を増やし、記憶システム固有の脳律動バイオマーカーを探索予定である。 一方、高齢発症側頭葉てんかん患者を対象とした研究で、扁桃体海馬移行部の腫大を伴う症例では記憶機能に障害がみられることを見出した(論文投稿中)。このような海馬機能異常による記憶障害をきたす疾患群に対して、今後の記憶ニューロモデュレーションへの応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
刺激の安全性確認のための動物実験に関しては、実験系の確立が立ち遅れている。動物実験に習熟した人材確保の問題、新型コロナウイルス感染拡大に伴う大学での実験の停止の影響などが考えられる。 また、ヒト研究の対象である、頭蓋内電極留置によるてんかん外科の術前評価の症例数が当施設で減少しており、症例数が集まりにくい状況がある。また、当 施設で使用していた頭蓋内電極(Stereo-EEG用の深部電極)に仕様上の不具合がみつかり、リコール対象となったため、stereo-EEGのための深部電極留置術その ものが現在ストップとなっていたが2023年6月から再開した。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験の進行については、新型コロナウイルス感染の終息とともに、実験系の構築を進めたい。 ヒトを対象とした研究については、stereo-EEGの電極留置を2023年6月から再開し、今後症例の蓄積が期待されるため、記憶システム固有の脳律動バイオマーカーの探索を進めていく。
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Causes of Carryover |
2023年度において、刺激の安全性確認などを目的とした動物実験を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大などの影響で、実験準備等が想定外に進まなかったことが、次年度使用額が生じた一番の理由と考えている。使用計画は、これまで得られたデータをもとにした論文の投稿や学会発表、英文校正に要する費用を検討している。
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