2020 Fiscal Year Research-status Report
電気シナプスを介する運動神経興奮性制御機構の解明と同シナプス回復によるALS治療
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19K17010
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小早川 優子 九州大学, 大学病院, 医員 (40733788)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / コネキシン36 / 電気シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞間の情報伝達機構には、神経伝達物質がシナプス後膜の受容体に結合する化学シ ナプスと、神経細胞膜上のConnexin (Cx) 蛋白が形成するgap junctionを通じてイオンや小分子が直接細胞間を移動する電気シナプスがあり、電気シナプスは抑制性または興奮性の化学シナプスと共存するか、共存せずに単独で存在する。電気シナプスを形成するCx蛋白の代表はCx36であり、隣接する神経細胞間での同期した電気活動(electrical coupling)を担う。研究者はこれまでに、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) モデルマウスである変異SOD1トランスジェニックマウスの腰髄前角では、単独もしくは抑制性の化学シナプスと共存する Cx36の発現が病初期から低下していることを報告しており、本研究はCx36が形成する電気シナプスの減少が、運動神経および抑制性神経の電気活動にどのように影響しているのか、electrical couplingの増強によりALSの運動神経変性が抑制されるかどうかを検討することを目的としている。 本年度は、electrical couplingを増強することが報告されているmodafinilについて、変異SOD1マウスへの投与効果を観察した。modafinil投与変異SOD1マウス(10週齢~18週齢、2回/週、40mg/gを腹腔内投与)と非投与変異SOD1マウスで、生存期間・体重・Rotarod performance・Hand gripの経過を比較した。modafinil投与群(N=10)と非投与群(N=11)について、体重減少やRotarod performance・Hand gripの低下はmodafinil投与群で遅れる傾向にあったが、生存期間は投与群vs非投与群=163±21.2day vs 161±12.0dayと有意な差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電気シナプスの脱落が運動神経の電気活動に与える影響について、評価系の立ち上げに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
Cx36が形成する電気シナプスの減少が運動神経および抑制性神経の電気活動にどのように影響しているのかを検討するとともに、modafinil以外のelectrical couplingを増強させる薬剤を探索し、変異SOD1マウスへの投与効果を観察する。
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Causes of Carryover |
本年度は、実験試薬や器具等について当研究室で従来使用していたものを利用したこと、COVID-19流行により一時期動物実験の実施が行えなかったことから、使用額がおさえられた。未使用分については、次年度以降の実験を進めるにあたり、必要な試薬の購入と人件費に充当する。
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