2020 Fiscal Year Annual Research Report
β1インテグリン-pMLC内皮透過性制御シグナルによる新規神経疾患治療法の確立
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19K17018
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊澤 良兼 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90468471)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳血管障害 / 血管透過性 / 血管内皮細胞 / 血液脳関門 / タイトジャンクション / β1インテグリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、血管透過性亢進メカニズム・病態の解明に取り組み、最終的に血管透過性制御による脳血管障害、あるいは神経疾患に対する新たな治療法を確立することである。血管内皮細胞が蛍光標識されたTie2-GFPマウスを用い、血管透過性亢進誘発のために、中大脳動脈虚血再灌流モデルを使用したほか、in vitro研究で解析済のトロンビンや抗β1インテグリン抗体(Ha2/5抗体)の皮質下へのstereotaxic injectionを用いた。血管透過性が亢進した後、中大脳動脈領域、あるいは注射部位近傍の皮質を二光子顕微鏡を用いて、生存麻酔下で頭窓から直接観察した。 脳実質の透過性については、当初は一過性虚血後、もしくはトロンビンや抗β1インテグリン抗体(Ha2/5抗体)のstereotaxic injection投与から4時間程度までの測定を行ったが、control群と比較して、明らかな血管透過性亢進の様子を確認することが出来なかった。そのため、過去のin vitroでの先行研究から、トロンビンや抗β1インテグリン抗体(Ha2/5抗体)の暴露による影響がより明確になると推定された24時間後に、蛍光物質投与後3時間まで二光子顕微鏡で連続撮影し、RITCもしくはTRITCの蛍光強度の経時変化を半定量的に解析した。一過性脳虚血モデル、およびトロンビン/β1インテグリン阻害抗体の脳皮質下注入モデルのいずれにおいても、コントロール群と比較して、有意な血管透過性亢進を認めなかった。理由として、マウス個体ごとの梗塞巣サイズの差異や、stereotaxic injection後のてんかん様発作が影響したと考えられた。一方で、トロンビン投与群においては、血管透過性の上昇幅が大きい傾向も観察されており、さらなる評価のため、サンプル数の増加や、実験手法の改善等を検討中である。
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Research Products
(5 results)