2020 Fiscal Year Annual Research Report
重症筋無力症における補体の網羅的解析と補体標的治療
Project/Area Number |
19K17026
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小澤 由希子 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (50792412)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 重症筋無力症 / 補体 / 補体調整因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアセチルコリン受容体(acetylcholinereceptor:AChR)抗体陽性重症筋無力症(MG;MyastheniaGravis)の治療前の血清補体価ならびに経時的な血清補体価に注目し、臨床経過や治療の効果と検証することで、治療介入初期から効果的な治療選択ができないか検討することを目的としている。2020年度は免疫治療未介入の抗AChR抗体陽性全身型MG患者45名と対照群として年齢と性別の調整を行った疾患コントロール患者25名の血清で古典経路(C1q,C5a,sC5b9)と副経路[Ba, Factor H(CFH)]の補体・補体調整因子を測定した。また同一個体での推移をみるためMG群の10例で治療開始6ヶ月後の補体・補体調整因子を測定した。対照群と比較してC5aはMG群で低く、sC5b9はMG群で高かった。C1qは胸腺腫合併MGで高かった。sC5b9は発症が若年ほど高い傾向があった。いずれの補体・補体調整因子も性別による差はなく、MGADLスコアや抗AChR抗体価、血清IgGとは有意な相関を認めなかった。6ヶ月の経過でMGADLスコアは有意に改善し、C1qとBaは有意に上昇傾向があったがC5a、sC5b9、CFHは有意な変化を認めなかった。MGの病態は古典的経路を中心とした補体介在性のシナプス後膜破壊が示唆されており、sC5b9の上昇は既報と同様にMAC形成亢進を反映しているものと考えられた。治療経過とともにC1qとBa上昇していることは症状改善とともに古典的経路優位の補体経路活性バランスの改善を示している可能性がある。全身型重症筋無力症において補体、補体調整因子は病態と関与しており、バイオマーカーとなる可能性が示唆された。
|