2021 Fiscal Year Research-status Report
治る認知症:自己免疫性辺縁系脳炎のバイオマーカー開発
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19K17032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本多 正幸 京都大学, 医学研究科, 院内助教 (50795432)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 辺縁系脳炎 / バイオマーカー / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年日本神経学会総会にて,くすぶり型の抗GAD抗体陽性辺縁系脳炎患者群の長期経過:臨床的特徴と海馬・扁桃体容積の検討」を行った.長期観察例における臨床的特徴ならびに海馬・扁桃体の容積変化について検討した.【方法】2008年1月から2020年10月までGAD-LEの診断で継続的に診療しており,2回以上頭部3テスラMRIが撮影された症例を後方視的に抽出した.それらの臨床的経過と,FreeSurfer(Ver 6.0)を用いた扁桃体・海馬のvolumetryを行い,年代をマッチさせた当院健常人データと比較した.【結果】患者数3名(全例女性),年齢33.5±9.2歳(以下平均±SD),発症時年齢は22.0±8.5歳,追跡期間は105.7±46.7ヶ月であった.直近の抗てんかん薬数は3.3±1.5剤で,発作頻度は1例で月単位,1例は日単位であった.免疫治療(ステロイド大量療法,免疫グロブリン大量療法(IVIg),血漿交換のいずれか)は全例に実施され,IVIg,血漿交換療法を行った例では発作頻度が低下ないしFDG-PET高集積例では軽減した.プレドニゾロンの少量維持療法は2例で実施された.初回IgG indexは全例で上昇し(1.42±0.68),治療前後でのGAD index=(髄液抗GAD抗体価/髄液アルブミン)/(血清抗GAD抗体価/血清アルブミン)には一定の傾向がなかった.長時間ビデオ脳波モニタリングでは両側側頭部起始の発作パターンを2例に,1例はFIRDA様波形を認めた.初診時MRIでは1例で扁桃体・海馬にT2高信号域を示し,volumetryでは急性期に発作起始側と同側優位の扁桃体腫大を1例に認めたが,維持免疫抑制療法非実施1例では正常範囲ではあるものの海馬容積が減少傾向を示すことを発表した.特定の抗体陽性例に限っては上記のようにバイオマーカーとしては一定の傾向をみとめなかったが,前年度報告と併せると,くすぶり型辺縁系脳炎の病勢にvolumetryが有用である可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度同様,COVID19流行に伴う長時間ビデオ脳波モニタリング症例数が著減しており,症例の蓄積が目標に届かないため.
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Strategy for Future Research Activity |
積極的な外来でのリクルートを諮り,長時間ビデオ脳波の実施困難な症例においても臨床的に疑わしければ,1時間の睡眠脳波を以て替えることで症例数増加を目指す.
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Causes of Carryover |
COVID19のため国際学会出席が不可能となり,参加費・旅費の支出がなかった.また当初予定していた人謝金を支払う対象がなく,人件費については研究代表者の労力で賄えた.
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