脳損傷後の皮質脊髄路再編における、運動皮質に投射するドパミン線維の役割の解明

2020 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19K17035
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 糸数 隆秀 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (60750015)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 神経可塑性 / 脳外傷 / 脳梗塞

Outline of Annual Research Achievements

脳損傷後の運動皮質におけるTH陽性線維の役割を検討した。TH陽性線維を運動皮質特異的に薬理学的手法により脱落させることにより、脳損傷後に自然にもたらされるはずの機能回復が障害されることを明らかにした。このメカニズムとして、神経トレーサーを用いた検証により、皮質脊髄路の可塑的再構築の過程が障害されていることを見出した。
そこで、TH陽性線維の投射の全体像、及び神経損傷後に見られるTH陽性線維投射の変化を見出すべく、遺伝子改変動物とウイルスベクターを組み合わせた手法にて解剖学的に検討を行ったが、想定していたドパミン回路の重要性を十分に反映する結果とはならなかったため、異なった種類の遺伝子改変動物を導入し、関与の可能性が考えられる複数の神経回路について解析を進めている。
また、よりダイナミックな可塑的変化を明らかにするため、2光子顕微鏡を用いたスパインターンオーバーの解析系とin vivo広視野カルシウムイメージング技術を立ち上げることとし、本年度中にこれらの手法の確立を概ね完了した。本技術を用いて、中枢神経可塑性について解析を継続し、引き続き本提案課題のコンセプトの証明を目指した検討を進める予定である。