2019 Fiscal Year Research-status Report
抗NF155抗体陽性CIDPの免疫療法抵抗性振戦の責任病巣のモデルでの再現と治療
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19K17036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲水 佐江子 九州大学, 大学病院, 医員 (30822994)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗NF155抗体陽性CIDP / 振戦 / 表面筋電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、抗NF155抗体陽性CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)でみられる特徴的な病像の一つに振戦があることを報告した。しかし、振戦の責任病巣は同定されていない。振戦の責任病巣を特定するため、表面筋電図検査を用いて、振戦の特徴を定量的に評価することとした。また、その結果をもとに抗NF155抗体陽性CIDPの振戦を動物モデルで再現し、治療法を検討することとした。 まず、抗NF155抗体陽性で振戦を有するCIDP患者5名を対象に、日本光電の脳波計を用いて骨間筋に記録電極を配置し、表面筋電図検査を施行した。 記録した表面筋電図検査のデータをEDFbrowserを用いてEDFフォーマットに変更後、pythonで周波数解析を行った。 5名中4名で姿勢時振戦の表面筋電図が記録できた。2名では11.3±1.2Hzと比較的大きい周波数であり、残り2名では6.2±0.6Hzと比較的遅い周波数であった。 この結果より、抗NF155抗体陽性の振戦には周波数の違いにより2群に分けられ、振戦の責任病巣の違いによることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
表面筋電図検査の手技の確立や、周波数解析のためのプログラム構築に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、振戦の責任病巣を推定するため、小脳の障害の程度(失調の診察所見、SPECTでの小脳血流低下の有無等)や末梢神経障害の程度(MMT、神経伝導速度検査等)をカルテシステムより抽出し、振戦の周波数との相関を検討する予定である。 また、抗NF155抗体陽性CIDP患者からモノクローナルフラグメント抗体の作製を進め、本抗体をマウスに髄腔内投与して振戦が再現できるか検討する。 さらに、既存の抗振戦作用を有する薬剤(βブロッカー、抗てんかん薬)を投与して、振戦の軽減がみられるかを表面筋電図で評価する。
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Causes of Carryover |
2019年度に、モデルマウスの作製を行う予定であったが、患者の表面筋電図解析が終了しなかったため、計画を変更し、モデルマウスの作製は行わなかったため、未使用額が生じた。 このため、モデルマウスの解析を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとした。
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