2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K17043
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
塩田 智 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70837062)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ALS / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
C9orf72遺伝子の非翻訳領域に存在するGGGGCCリピート配列の延長は、家族性の前頭側頭変性症および筋萎縮性側索硬化症の原因として最も多い。この遺伝子の繰り返し配列から産生される5種類のジペプチドリピートタンパク質のうち、プロリンとアルギニンからなるPRポリペプチドは細胞毒性をもち、また、細胞骨格の構成要素の一つである中間径フィラメントと結合することがわかっている。しかしながら、PRポリペプチドが細胞内でどのように細胞骨格や局所接着に影響するかは明らかではない。本研究では、PRポリペプチドによる細胞骨格や局所接着への変化が、細胞の機械的特性やメカニカルストレス応答を変化させる事を明らかにした。PRポリペプチドは中間径フィラメントのネットワーク構造を複雑化し、細胞表面の硬さを増加させた。また、PRポリペプチドはアクチンフィラメントの分布を変化させ、局所接着のサイズと細胞内カルシウム濃度を増加させた。PRポリペプチドとアクチン、微小管、中間径フィラメントそれぞれの阻害薬で処理した細胞に、EDTAを使用して細胞剥離処理を行うと、PRポリペプチドと中間径フィラメント阻害剤では細胞剥離が阻害された。さらに、PRポリペプチドは機械的ストレス因子であるThbs-1の発現を上昇させ、繰り返し伸展刺激に対するアクチンストレスファイバーの再配向を抑制した。 以上より、本研究ではPRポリペプチドが細胞骨格や局所接着を再編成し、機械的特性を変化させることを明らかにした。特に、中間径フィラメントは他の細胞骨格構成要素や局所接着、細胞の機械的特性を制御し、機械的ストレス応答を誘導することがすでに明らかになっている。本研究結果は、PRポリジペプチドが力学的特性や力学的ストレス反応に及ぼす影響が、C9orf72関連神経変性の病態に関与している可能性を示唆するものである。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] C9orf72-Derived Proline:Arginine Poly-Dipeptides Modulate Cytoskeleton and Mechanical Stress Response2022
Author(s)
Tomo Shiota, Riko Nagata, Sotaro Kikuchi, Hitoki Nanaura, Masaya Matsubayashi, Mari Nakanishi, Shinko Kobashigawa, Noriyoshi Isozumi, Takao Kiriyama, Kazuaki Nagayama, Kazuma Sugie, Yoshito Yamashiro, Eiichiro Mori
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Journal Title
Front. Cell Dev. Biol.
Volume: eCollection
Pages: eCollection
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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