2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of diagnostic procedures for dementia by eye tracking
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19K17046
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
徳重 真一 杏林大学, 医学部, 助教 (30814561)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症 / 眼球運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、認知症患者の眼球運動の異常にどのような特徴があるかを明らかにし、それを認知症の早期診断に結び付けることである。 2019年度は認知症患者を対象とした研究の前段階として、まず健常者の眼球運動データの解析を行った。具体的には、眼球が運動の準備完了の前に動き出してしまい、視線が見たい方向とは逆の方向に動いてしまう現象"premature saccade"に着目し、これが通常の(正確に目標に向かって動く)眼球運動とどのように違うかという点を解析した。 この成果は、2019年11月28日から30日にかけて福島市で開催された、第49回日本臨床神経生理学会にて発表した。本学会では臨床神経生理学の専門家が多数集まり、有意義な意見交換をすることができた。2020年4月には同様の内容を英文誌に投稿した。2020年6月現在、査読中である。 加えて、眼球運動を記録中の瞳孔径の経時変化を解析するためのプログラムを作成した。瞳孔径は自律神経の作用や運動準備のタイミングに関連して変化することが知られており、眼球運動と同様、その解析から臨床的に意義のあるデータが得られる可能性がある。この解析のためのプログラムを作成した。 これまで行った研究には、認知症患者の眼球運動を研究するための基礎的データを健常者で取得するという意義があり、本研究を遂行する上で重要な成果を得ることができた。この成果を踏まえて今後の研究を進展させていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、健常者の眼球運動については充分な基礎的データを得ることができた。今後は認知症の患者の眼球運動データを集め、健常者との比較によって疾患ごとの特徴を明らかにすることができると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、様々な病型の認知症(アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症など)の患者を対象として眼球運動データを集め、すでに得られている健常者のデータとの比較を行う。これにより、それぞれの認知症に共通する眼球運動の障害パターンがあるのか、あるいは、個々の疾患ごとに障害パターンは異なるのか、認知症の進行度と眼球運動障害の関連はあるのか、などの問題点を明らかにしていく方針である。
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Causes of Carryover |
当初は国際学会での発表を想定し、その旅費および参加費用の支出を計画に入れていたが、当該年度の間に国際学会でのに発表の機会がなかったことが最大の理由である。 さらに、国内学会発表にかかる費用が想定よりも少額で済んだことや、論文の英文校正の費用を他から捻出したことも理由に入る。
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