2021 Fiscal Year Research-status Report
e-Sportsによるうつ病治療増強療法の確立とその生物学的機序の解明
Project/Area Number |
19K17052
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
冨田 哲 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90736365)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | うつ病 / 増強療法 / e-Sports |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、症例の集積を行った。本研究はe-Sportsのうつ病治療における抗うつ薬による薬物治療における増強療法としての有益性の検討、有効な施行方法についての確立を目的とし、令和3年度も昨年度に引き続き、患者の収集およびe-Sportsの施行(うつ病の診断で、直前の2か月間で処方内容が固定され、書面で同意が得られた成人患者に対して、8週間の間平日に1日1時間e-Sportsであるゲームを行い、各日の得点、クリアまでの時間、インターネット上の順位を記録し調査する)、臨床評価および検査(調査開始時、開始後1週目、2週目、4週目、6週目、8週目のMontgomery&Asberg Depression Rating Scale(MADRS)によるうつ病症状の評価、うつ病・うつ状態と関連が示唆されている血液中のバイオマーカーの上記と同様各調査時点での測定、調査開始時のうつ病との関連が指摘されている遺伝子解析)、認知機能検査(調査開始時、終了時に認知機能検査としてTrail making test(TMT)を施行)といったことを行った。 また本研究参加者以外の当科通院中の患者に対しても、ゲーム嗜癖について調査を行っている。これにより、本研究の参加者と非参加者の間において、もともとのゲーム嗜癖や習慣に差がないこと、選択バイアスが無いことを明らかにすべく、解析中である。 また関連する疫学調査も行った。一般住民を対象とした住民健診において、ゲーム嗜癖の実態調査のため1000例規模のデータを集積した。地域住民に結果を還元するとともに、対照群と比較するコントロール群としてのデータベースを構築できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例は集積されてきている。 地域住民のコホート調査も行い、コントロール群として同時に解析する予定である。 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、感染対策を行った上での施行が必要となったが、その対策のため、症例の収集に難渋した。
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Strategy for Future Research Activity |
うつ病患者のe-Sports施行時間と症状の関連性、うつ病症状の改善と生物学的機序の解明について明らかにする。 1.症例の収集・プロトコル ①令和3年度と同様な症例を、1年におよそ50例のペースで収集する。②令和3年度と同様にe-Sportsを行う。その際、患者をランダム化し、1日30分、1時間、2時間に分けた上で施行する。 2.臨床評価・検査 ①令和3年度と同様に各時点でMADRSを用いて症状を評価する。②各症例において、各種バイオマーカー測定および遺伝子解析を行う。③調査開始時、終了時に認知機能検査としてTrail Making Test(TMT)を施行し、e-Sportsによる改善や影響を確認する。3.結果の総括と公表 それまでの情報を統計解析し、結果を国際誌に投稿ならびに学会発表を行う。有効なe-Sportsによるうつ病治療の増強療法を確立し公表する。
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Causes of Carryover |
当該年度は、データ解析に必要なパソコンの購入などの物品費に使用したが、学会がオンラインで施行されたこと、新型コロナウイルス感染症の流行のために参加できなかった学会があったことから旅費が抑えられたこと、物品費は当初の予定よりも低額に抑えられたため、差額が生じた。 (使用計画) 新たに集積された症例の解析や、最終年度のため英文投稿のための校閲費、掲載費、また発表のための学会参加費などに使用される。
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