2019 Fiscal Year Research-status Report
長期的ストレス障害を示す神経基盤解明:免疫内分泌に注目して
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19K17053
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
領家 梨恵 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (10737464)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心的外傷後ストレス障害 / PTSD / 恐怖条件づけ / ラット / コルチコステロン |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模な自然災害や凶悪犯罪といった強いストレスにより引き起こされる心的外傷後ストレス障害(PTSD)は社会的問題となっている。PTSDを発症させないためには、できるだけ早いタイミングでの治療・介入が効果的であることは知られているが、そのメカニズムは明らかになっていない。本研究は強いストレス経験が恐怖反応の増強を形成する内分泌・免疫系メカニズムに注目し、PTSDモデル動物を対象に、ストレス経験時、経験後の微細な身体内の変化が恐怖反応増強を引き起こすメカニズムを解明することを目的とする。行動的変化に加え、小動物用核磁気共鳴画像法(MRI)を用いて同一個体の脳形態変化をストレス前後で比較することで、強いストレスによって生じた異常を可視化する。これらにより、PTSDの新規バイオマーカーおよび、効果的な治療法の開発貢献を目指す。 本年度は、強いストレスを受けた後の行動と脳画像の解析を行った。PTSDモデル動物として、採択者のこれまでの研究で作成した手法を用いた(Ryoke, R., Yamada, K., & Ichitani, Y. (2014). Physiology & Behavior)。PTSD動物モデルに、電撃と水泳ストレスを与えた。結果を比較するための統制群は、飼育室から実験室に移動したが強いストレスを与えられなかった。恐怖記憶の形成と持続をみるために、弱い刺激を用いた文脈恐怖条件づけを行った。PTSDモデル作成の前後にMRIを用いて脳形態画像を取得した。PTSD動物モデルにおいて、恐怖記憶の増強が見られ、脳形態に変化がみられた。引き続き、採血後のホルモンおよびサイトカインの測定において、安定した定量値を得るための検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画はほぼ予定通りに実施された。年度末から感染症対策のために実験室の体入りが制限されているため、続く計画は遅れが生じる可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、実験計画を進めるよう努力する。実施上の課題として、実験室への立ち入りが制限されているため、実験実施に係る消耗品と解析方法について、情報収集を行う予定である。スムーズに実験を進められるように、準備を行う。
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Causes of Carryover |
要件に合う実験解析ソフトウェアを探し、複数のソフトウェアを検討したところ合致するものを得られなかったため、ソフトウェア購入分を次年度使用とした。現在、専門業者と相談を行い、解析に足る手法を検討している。繰り越し分は、解析を行うために使用する。
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