2019 Fiscal Year Research-status Report
SETD1A遺伝子の稀な変異と日本人統合失調症における発症リスク
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19K17057
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
森川 亮 新潟大学, 医歯学総合病院精神科, 医員 (40839198)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】SETD1A遺伝子が統合失調症の発症に大きな効果を持つリスク遺伝子であることを明らかにし、統合失調症の病態解明および根本的治療開発の分子基盤を得ることが、本研究の目的である。 【方法】本研究はヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針や個人情報保護法を遵守し、新潟大学および各研究機関の遺伝子倫理審査委員会で承認されている。また対象者(必要に応じて代諾者)に対して十分な説明を行い、書面で研究参加の同意を得ている。我々は以下の2つの手法による研究デザインを用いている。第一に症例・対照サンプルのSETD1A遺伝子のタンパク質コード領域にある稀な機能的変異を検索する、SETD1A遺伝子シーケンスを行う。第二にSETD1A遺伝子シーケンスにより同定された変異が統合失調症の発症に大きな効果を持つリスク遺伝子であることを、関連解析によって確認する。 【結果】SETD1A遺伝子の稀な変異を網羅的に検索するため、2019年度までにSETD1A遺伝子シーケンスを症例367サンプルに対し実施した。その結果、稀な変異を27個認め、その中でNational Center for Biotechnology Informationのデータベースに未登録のものが8個あった。稀な非同義変異は11個あり、タンパク質の機能を障害しうる有害な変異は6個あった(Gln90His、Arg218Cys、Ser575Pro、Pro729Leu、Arg1358Trp、Arg1542Trp)。今後も遺伝子シーケンスを継続し、さらに同定した候補リスク変異について関連解析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
SETD1A遺伝子の稀な変異を網羅的に検索するため、2019年度までにSETD1A遺伝子シーケンスを症例367サンプルに対し実施した。その結果、稀な変異を27個、稀な非同義変異を11個同定した。 当初は2019年度内に症例・対照各1,000サンプルの遺伝子シーケンスを行う予定であった。しかし実験や解析の作業に想定以上の時間がかかり、遅延している状況だと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度も遺伝子シーケンスを継続し、稀な機能喪失変異あるいは新規かつ有害と予測された機能的ミスセンス変異を検索する。さらにSETD1A遺伝子が日本人においても統合失調症の発症に大きな効果をもつリスク遺伝子であることを確認するため、検索された候補リスク変異について症例・対照サンプル(5,000対10,000)を用いて関連解析を行うこととしている。
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Causes of Carryover |
遺伝子シーケンスを実施したサンプルが予定よりも少なかった結果、試薬の使用量が少量であったため。遺伝子シーケンスを継続し、必要な試薬を適宜使用していく予定である。
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