2021 Fiscal Year Annual Research Report
意思決定のパラダイムを用いたNIRSによる抑うつ状態の鑑別診断法の開発
Project/Area Number |
19K17063
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
陳 冲 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70783067)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | うつ状態 / 鑑別診断 / 情動認知 / 意思決定 / 報酬 / 認知神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現在保険適用となった「抑うつ状態の鑑別診断の補助」としての光トポグラフィー(NIRS)検査の鑑別精度を向上させるために、抑うつ状態を呈するうつ病、双極性障害、統合失調症三疾患それぞれの特徴的な病態(つまり、感情や動機付けなど報酬処理の異常)を捉える新たな課題の開発を目的としている。初年度において、今回の研究に用いる報酬に基づいた意思決定課題を作成し、その課題の妥当性を少人数で検証して課題の難易度などを調整・改善した。しかし、課題が長く時間を要するため、課題と同時にNIRS検査ができないことが分かったため、第2年度目からNIRS検査を行わずに課題だけを実施することとした。また、鑑別診断の感度・特異度を向上させるため、当初計画したリスク回避、損失回避、強化学習の三つの課題に、遅延報酬および社会的価値志向を評価する課題を新たに追加した。第3年度目の最終年度までに、うつ病20名と双極性障害6名の患者をリクルートできた。新型コロナウイルス感染症などの影響により、最終解析用の目標被験者数に達していないものの、予備的検討を行う予定である。さらに、本研究で作成した複数の意思決定課題の妥当性や心理指標との関連性を検討する論文を最終年度において作成・投稿し、国際誌に掲載された。これらの意思決定課題は情動認知や意思決定、報酬処理のパラダイムを用いた精神疾患の診断・治療バイオマーカー研究を実施するために有用である。
|