2020 Fiscal Year Research-status Report
神経性やせ症患者におけるRefeeding syndromeリスクの検討
Project/Area Number |
19K17067
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
原田 朋子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (10779432)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 神経性やせ症 / 再栄養症候群 / 持続血糖変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経性やせ症(Anorexia nervosa; AN)は、思春期から青年期の女性に好発する精神疾患で、著しい低体重、拒食や自己誘発嘔吐などの食行動異常、体型への過度な価値観などの精神面の偏りや異常という特徴を持つ。死亡率は精神疾患の中で最も高く、約20人に1人と言われる。このため早期介入が強調されるが、治療における再栄養によって身体状態はかえって不安定になることがしばしばある。この中で最も問題となるのは、時に致死的な状態となり得る再栄養症候群(Refeeding syndrome: RS)である。RSは再栄養により生じる、細胞内への水分移動や電解質移動に伴う症候群と定義される。明確な診断基準は示されていないが、低リン血症を始めとする電解質異常、引き起こされる肝機能障害、著明な浮腫などが生じ、この背景には複雑な病態があることが想定されている。その中でも近年は、急激な糖負荷によるインスリン分泌の影響が大きいことが示唆されている。このため本研究では、AN患者治療における再栄養において、特に血糖変動に着目して検討し、RSのリスク因子を解明することを目的としている。 現在までに、AN患者の血糖変動は、同じ食事をしていても個人差が大きいことが明らかとなった。引き続き、再栄養後2週間に好発するRSの徴候が発生するかどうかについて、年齢、入院時BMI、入院前の食行動異常、血糖変動、糖負荷量(摂取した炭水化物量)との関連を検討するため、入院AN患者さんの協力を得てデータ集積中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目標症例数は50名である。これまでの症例に対しては、少数ではあるが、血糖変動測定器(リブレ)の不備などが認められた。また、身体的問題が生じてCT検査を行った時には、リブレを取り外す必要があるため、血糖変動測定の継続ができなかった。以上のことから、2020年3月末時点で、データが得られた症例数は45名で目標数に達することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究を継続し、目標症例数を目指す。7月末までに目標症例数を達成する見込みである。これをもって統計解析を行い論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
研究期間延長のため。 今後、論文作成のための予算として使用する予定である。
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