2019 Fiscal Year Research-status Report
血中不飽和脂肪酸の恐怖神経回路活動抑制作用とPTSD予防効果の検討
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19K17069
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
井上 朋子 北里大学, 医学部, 助教 (10595169)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PTSD / 不飽和脂肪酸 / 恐怖神経回路活動抑制 / PTSD予防効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
救急搬送された様々な外傷患者や、災害の被災者などに対して、被害の直後に食事を通じてω3/6値をコントロールすることによって、 その後のPTSDなどの不安症状を予防できる可能性について検討することを目的とした研究を企画した。具体的な研究課題は以下の通りである。 (1)外傷により救急搬送された患者の血中ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の比率と、事故1か月後および3か月後時点でのPTSD症状、うつ・不安の精神症状、生活の質(QOL)の関連を分析する。 (2)受傷の状況(事故、自殺企図等)、重症度による血中脂肪酸の比率および精神症状との関連に違いがあるかを検討する。 (3)ω3系および6系脂肪酸にも種類が数多くあることから、事故後の精神症状を低減させるω3系/ω6系脂肪酸の種類、および最適な比率を割り出し、動物研究での知見と比較し、ω3系/ω6系脂肪酸の摂取による予防可能性を検討する。 2019年度は、上記研究を開始するため、院内の倫理委員会への申請を行い、7月25日に承認された。その後、8月より症例収集を開始した。 具体的には以下のような手順でデータ収集を行った。①入院時に、該当患者または患者の家族に研究についての説明と協力依頼を行い、同意が得られた場合には、血中脂肪酸項目の解析を行う。②身体的な初期治療を終え、事故後1ヶ月までの間に担当医が面接可能と判断した患者に対して面接を行い、精神疾患を診断するための構造化面接(M.I.N.I.)を実施する。③事故発生より1か月後、3か月後に質問紙票を郵送し、記入後に返送を求める。入院中の患者については、質問紙を手渡し回収する。 研究開始に必要な院内の手続きや関係各所との打ち合わせを経て、症例収集を開始できたことが今年度の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行により、危機管理の観点から、研究目的での救急病棟への出入りを控える必要があり、症例収集が困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着き次第、十分な感染対策を行いつつ症例収集を再開し、データ整理、解析を行う。
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Causes of Carryover |
症例収集の一時中断により、予定していた人件費その他の使用が先送りになったため、次年度使用額が生じた。今後、予定の症例数確保を目指して、症例収集を開始し、そのために必要な人件費や謝金などを、翌年度分として請求した助成金から随時使用していく。
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