2020 Fiscal Year Annual Research Report
治療抵抗性統合失調症におけるオキシトシン/バソプレシン系システムの包括的検討
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19K17081
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仲田 祐介 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (40836962)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 統合失調症 / オキシトシン / バソプレシン / 自閉症的特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、統合失調症の中でもとりわけ、治療抵抗性統合失調症に焦点をあて、その病態にオキシトシン/バソプレシン系のシステムが関与している可能性を検討するものである。我々の研究では、①治療抵抗性統合失調症は寛解統合失調症と比較し、自閉症スペクトラム障害と神経心理学的に相同性が高い可能性があること、②オキシトシン受容体遺伝子上に存在する一塩基多型が治療抵抗性統合失調症の病態に関与すること、が示唆されている。 バソプレシンと統合失調症の相関に関する研究はオキシトシンと比較すると現状では報告が少ないため、我々は、末梢バソプレシン濃度およびバソプレシン関連遺伝子の一塩基変異に着目し、治療抵抗性統合失調症(特にクロザピンにも反応性が乏しい治療抵抗性統合失調症)との相関性の解析を行うこととした。 具体的には、血清パソプレシン濃度の測定および、バソプレシン遺伝子・バソプレシン受容体(AVPR)1a遺伝子・AVPR1b遺伝子の一塩基変異を調査し、解析を行った。 被験者は健常者群、寛解統合失調症群、治療抵抗性統合失調症群、自閉症スペクトラム障害群であり、各々、30~40名程度の同意を得て、認知機能評価・症状評価等を施行済みである。そして、それらで得られた結果と、上記バソプレシン関係のバイオマーカーにつき、相関性を解析したところ、統合失調症群において、AVPR1b遺伝子のrs2863219において、有意に陰性症状との相関性が認められた。このことは、統合失調症の陰性症状とAVP系システムとは相関性があり、陰性症状が顕著な治療抵抗性統合失調症ではAVP系の病態異常が示唆されることとなる。申請者の一連の研究からは陰性症状が強い治療抵抗性統合失調症の病態には、自閉症的特性やオキシトシン/バソプレシン系の病態異常が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)