2020 Fiscal Year Research-status Report
神経系における熱ショックたんぱく質の発現低下が統合失調症に及ぼす影響の解明
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19K17082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
趙 治磊 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任研究員 (50761277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 熱ショックタンパク質 / 脳・神経 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、初年度(令和1年度)に確立した熱ショックたんぱく質(HSP70)のノックダウン安定導入細胞株を活かして、遺伝子網羅的な発現を解析した。次世代シーケンサーによる遺伝子解析した結果、568個遺伝子の発現上昇と965個遺伝子の発現減少が群間で示した(fold-change>4, FDR<0.01)。 そして、エンリッチメント解析として、DAVID(The Database for Annotation, Visualization and Integrated Discovery)の解析ツールを用いて、有意な変動遺伝子のパスウェイを解析した。その結果、12個遺伝子全体が協調して発現上昇のパスウェイを見つかり、その中、神経と関連するパススウェイとしてNervous system developmentを始め、NeurogenesisやNeuron differentiationの有意な亢進をリストアップした。更に、in silico解析として、現存の統合失調症死後脳の遺伝子発現データベースに照合し、24個有意に変動した遺伝子を絞り込めた(Menachem Fromer et al 2016)。そこて、real-time PCRによるバリデーションを行い、HSP70のノックダウンによる、統合失調症に関連する因子であるTCF4(Transcription Factor 4)などの発現変動が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
緊急事態宣言の影響で、一時的に実験が中断したが、in silico 解析による、特定パスウェイの割り出し及びreal-time PCRによるバリデーションなどの実験が急ピッチで行った結果、いくつかの統合失調症のリスク関連因子とHSP70の関連性を示唆されたことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、HSP70の発現減少による有意な変動した統合失調症のリスク関連因子を中心に解析を進めた。これらの分子について、来年度よりHSP70との相互作用や上下流関連について、細胞系を用いて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
real-time PCRなどの実験が順調に進行したため、物品費については想定していたよりも消耗品の購入額が少なくなった。
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