2021 Fiscal Year Research-status Report
神経系における熱ショックたんぱく質の発現低下が統合失調症に及ぼす影響の解明
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19K17082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
趙 治磊 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任研究員 (50761277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 熱ショックタンパク質 / 脳・神経 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、熱ショックたんぱく質(HSP70)のノックダウン安定導入細胞株を活かして、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子発現解析を行い、HSP70のノックダウンによる神経細胞特異的な遺伝子変動を解析した。その結果、いくつかの神経と関連するパスウェイが亢進していることが示唆された。更に、現存の統合失調症死後脳のデータベースと照合することを通じて、多数の関連遺伝子の変動が確認された。 令和2年度には、まず、神経と関連するパスウェイに関わる遺伝子のバリデーションをreal-time PCRで確認することをした。その結果、HSP70の発現減少によるNervous system developmentなどのパスウェイに関連する遺伝子の変動が多数確認された。次に、HSP70の発現減少による有意な変動がみられた統合失調症のリスク関連因子の解析を進めた。HSP70の発現減少による応答が減弱する遺伝子に対して、HSP70のシグナル伝達経路の下流に位置する可能性を確かめるため、ヒト神経芽細胞腫に由来の細胞株であるSK-N-SH細胞を用いて、HSP70の過剰発現実験系を構築し、HSP70がこれらの遺伝子発現量に与えた影響を検討することをした。そして、それに加えて、バリデーションされた遺伝子に対して、ノックダウンや過剰発現によってこれらの遺伝子の発現量を調節し、HSP70とその下流にあるシグナル伝達経路の変動を明らかにすることを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の影響を受け、研究がやや遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度において、変動が確認された遺伝子に対して、HSP70の過剰発現実験系を構築してHSP70からの影響を検討する。また、同定された遺伝子に対し、経路の下流シグナルの発現変化も解析する予定である。
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Causes of Carryover |
実験の遅延があったため、物品費については想定していたよりも消耗品の購入額が少なくなった。
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