2019 Fiscal Year Research-status Report
性ホルモンに着目した治療抵抗性うつ病の治療法および認知症予防法の確立
Project/Area Number |
19K17085
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
常山 暢人 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90750349)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 性ホルモン / うつ病 / 治療抵抗性 / 重症度 / 認知症 / ホルモン補充療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
現行のうつ病治療には、薬物治療抵抗性を示す患者が一定数存在する。また、うつ病は、認知症のリスク因子であることが知られてきているが、これらが生じる病態は十分に解明されていない。 本研究は、近年うつ病との関連性が示唆されてきている性ホルモンに着目し、未解明であるうつ病の難治化の機序ならびにうつ病と認知機能の関連を明らかにすることを第1の目的としている。加えて、治療抵抗性うつ病患者に性ホルモン補充療法を行い、難治症例に対する新たな治療法の確立および認知症発症の予防法の探索を第2の目的とする。 これまでに、我々は、血清cortisol値やcortisol/DHEA-S比、血清IGF-1値がうつ病の重症度に影響を与える因子であること、cortisol、IGF-1が自殺と関連する因子であることを明らかにした。これらの結果をまとめた論文が、Journal of Clinical Psychopharmacologyに掲載された。また、我々は、血清prolactin値とうつ病の重症度との関連、ベースラインのcortisolの差異が治療経過に与える影響、男性うつ病患者と血清estradiol値の関連について検証し、第115回日本精神神経学会学術総会や第29回日本臨床精神神経薬理学会などの学会で報告を行った。 さらに我々は、うつ病治療抵抗性群の血清IGF-1値が、うつ病寛解群、健常群よりも高値となること、ベースラインの血清IGF-1値が高いほうが、うつ症状の改善が得られにくくなる傾向があることを明らかにした。これは、難治性うつ病患者に対する病態解明ならびに新たな治療法の可能性を確立するための第一歩となる非常に意義のある研究であり、第40回日本臨床薬理学会学術総会で報告を行い、優秀演題賞を受賞した。これらの成果について現在、論文を作成中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
うつ病患者および健常群のエントリー数が着実に増えてきているが、研究計画で想定していたよりも同意を得られる症例が少ないため、結果の取りまとめに必要なサンプル数に達するまでに時間を要している。 また、ホルモン補充療法の適応となる症例が集まらず、ホルモン補充療法導入に至れた症例は僅かである。
|
Strategy for Future Research Activity |
エントリー数を増やしていき、各ホルモン値と、うつ病患者の抑うつ症状および認知機能について解析を進めていく。また、横断面だけでなく縦断面でも評価を行い、各ホルモン間のバランスや治療経過でのホルモン値の変動、ベースラインのホルモン値の差異と治療経過の関連などを含めて解析していく予定である。 ホルモン補充療法の適応となる症例が少ないので、必要に応じて、他施設からも広く症例を募集し、適応できそうな症例がいれば随時産婦人科や泌尿器科に相談し、HRT導入を進めていく。
|
Causes of Carryover |
(理由)研究計画で想定していたよりも同意を得られる症例が少ないため。 (使用計画)必要に応じて、他施設からも広く症例を募集して、エントリー数を増やしていく。また、学会発表だけでなく論文でも随時成果を発表していく。
|
Research Products
(10 results)