2020 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病における前頭前野テロメア短縮の病態生理学的意義の解明
Project/Area Number |
19K17095
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
鹿内 浩樹 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (00632556)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | うつ病 / テロメア / テロメラーゼ / TERT / 前頭前野 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、①Cre-loxPシステムによるTERTのconditional knockout動物を用いた実験の確立と、②脳内TERTの発現部位同定を実施した。①について、米国ジャクソン研究所にTERT遺伝子のfloxed miceを作製依頼し、本学動物実験センターへの導入が完了した。現在もセンター内にて継代繁殖を実施している。また、Cre遺伝子導入のためのウイルスベクターについては、複数のセロタイプのベクターを検討し、遺伝子発現に必要なベクター注入量、手術後の回復時間等、実験条件を決める基礎検討を実施した。②について、免疫組織化学染色法を用いて脳内TERTの発現部位を確認した。一般的に神経細胞は胎生期、幼若期に新生され、成熟期では新生されないとされてきたが、近年、海馬などの一部領域で成熟期においても神経幹・前駆細胞が存在し、それらが増殖、分化する、すなわち神経新生(neurogenesis)が起きていることが報告されている。正常動物において脳内のTERT陽性細胞は、神経細胞のマーカーの1つであるNeuNを共発現していた。一方、未熟神経細胞のマーカーの1つであるdoublecortinの陽性細胞中にTERTは検出されなかった。さらに神経細胞やグリア細胞に分化する前の状態である神経幹細胞(神経上皮細胞)のマーカーの1つであるSox2陽性細胞中にもTERTは検出されなかった。すなわち成体脳におけるTERTは、成熟した神経細胞に存在する可能性が高い。しかし、成熟したグリア細胞内にも存在している可能性は否定できないため、グリア細胞マーカーを使用した検討も必要であると考えている。
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