2019 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症スペクトラム障害における概日リズム特性と社会機能障害の検討
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19K17098
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
松井 健太郎 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 臨床検査部, 医長 (30647152)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 概日リズム睡眠覚醒障害 / 有病率 / 精神病症状 / 社会機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症患者における、概日リズム睡眠・覚醒障害(CRSWD)の併存率や、CRSWDが併存することによる精神病症状の悪化との関連、社会機能障害との関連については明らかになっていないのが現状である。本研究は東京女子医科大学倫理審査委員会での承認を経て実施された。東京女子医科大学病院神経精神科外来を通院した統合失調症患者を対象とし、精神病症状、社会機能障害、および普段の睡眠習慣についての情報を得た。2020年3月までに139例を組み入れ、解析対象となった105例に対して横断面での中間解析を行った結果、統合失調症患者の18.1%にCRSWDが併存する可能性が示唆された。CRSWD併存群とCRSWD非併存群とで比較した結果、CRSWD併存群では年齢が有意に低く、BMIが有意に高かった(いずれもp<0.001)。精神病症状については簡易精神症状評価尺度 (BPRS)を用いて評価を行ったが、BPRSの総スコアがCRSWD併存群でCRSWD非併存群に比べて優位に高かった(p<0.05)一方、陽性症状スコア、陰性症状スコアに分けた場合には両群間に有意差を認めなかった。社会機能障害については、機能の全体的評定尺度(GAF)スコアにおいて、CRSWD併存群でCRSWD非併存群に比べて有意に高かった(p<0.05)が、世界保健機関能力低下評価尺度(WHO-DAS)で確認した、自覚的な機能障害については有意差を認めなかった。CRSWDの併存と精神病症状・社会機能障害との関連が示唆されたことから、今後下位分類についての追加解析を行うとともに、その後の転機に対する検討、具体的な治療介入の有効性についても検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に示したとおり、統合失調症におけるCRSWDの有病率調査、関連要因の中間解析までは終了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
初回調査にて組み入れた患者のその後の転機について縦断面で経過を追う予定である。やむを得ない異動があり、当初の計画にあった介入研究については白紙に戻った状態だが、具体的な方策について検討していく。
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Causes of Carryover |
予定していた研究補助員の雇用ができなかった。また、予定していた国際学会への参加もできず、支出予定額を大きく下回ることとなった。 今年度は複数の国内・国際学会への参加を予定している。また今後データ解析を行い論文作成を行うにあたり、論文校正や投稿などに費用が必要と考える。
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