2019 Fiscal Year Research-status Report
うつ病患者における毛髪ステロイドホルモンバイオマーカーの探索と妥当性の検討
Project/Area Number |
19K17102
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
土嶺 章子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 科研費研究員 (60649044)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | うつ病 / コルチコステロン / ストレス / モデル動物 / 行動 / バイオマーカー / 毛髪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒト毛髪中ステロイドを測定し、うつ病のバイオマーカーを探索することを目的としている。今年度は健常者とうつ病をはじめ、躁うつ病、統合失調症の患者さんのリクルートと毛髪の最適保存方法、測定条件の検討を行った。ヒトを対象とした被験者さんのリクルートとサンプルの保存方法・測定条件の検討と同時並行で、動物を用いたストレス関連ホルモンの測定についても検討した。 動物を用いたストレス反応によるホルモン変化については、C57BL/6JとBALB/cの2種類のマウスを用いて慢性拘束ストレスによるうつ病モデルマウスを作成し、ストレスをかける前と後でストレスホルモン(コルチコステロン)およびテストステロンの測定と行動学的な解析を行なった。その結果、ストレスをかけたマウスでは両系統において体重増加の抑制、胸腺の萎縮、副腎重量の増加、体毛中コルチコステロンおよびテストステロンの増加を認めた。行動学的解析では、両系統においてうつ様行動は認められなかったが、BALB/cマウスでのみアンヘドニア様行動が確認された。もともとC57BL/6Jはストレスぬ強く、BALB/cマウスはストレスに弱いと言われているが、両系統ともにストレスに対する反応は認められた。しかし、行動という中間表現型にストレスの反応が現れるのはBALB/cマウスのみであったことから、慢性拘束ストレスを用いたうつ病モデルマウスの作成にはBALB/cマウスの方がC57BL/6Jより好ましいと考えられた。本成果は論文としてまとめ、国際誌に投稿しアクセプトされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者さんのリクルートには紙媒体やWebを使った方法を使っているほか、病院の外来からの紹介により募集している。研究方法としても簡単な自己記入式の質問紙やアンケートのほかに、検体採取も毛髪を130mg程度根元からカットするだけで完了するため、侵襲性がほとんどなく被験者さんも参加しやすいと考えられるため順調に被験者さんのリクルートが行えている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き被験者さんのリクルートを行なっていく。ヒト毛髪由来コルチゾールをはじめとしたステロイドの測定について、安定した結果を得られるように毛髪の採取から粉砕、ステロイドの抽出、測定などの条件を詳細に検討していく予定である。
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