2020 Fiscal Year Research-status Report
うつ病患者における毛髪ステロイドホルモンバイオマーカーの探索と妥当性の検討
Project/Area Number |
19K17102
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
土嶺 章子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 研究生 (60649044)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | うつ病 / ステロイド / 毛髪 / テストステロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒト毛髪からステロイドを測定し、ストレスから引き起こされるうつ病をはじめとした精神疾患のバイオマーカーを探索することを目的としている。 2020年度は被験者のリクルートを主に行い、健常者113名、うつ病患者14名、統合失調症患者3名、躁うつ病患者6名のサンプリングを完了した。これらの毛髪サンプルからステロイドの抽出を行い、健常者のサンプルを用いて最適なステロイドの測定条件の構築をした。 今年度はステロイドの中でもテストステロンに焦点を当て、上記した健常者、うつ病患者、統合失調症患者、躁うつ病患者のテストステロンの測定を行なった。その結果、女性のうつ病患者では健常者と比較して毛髪中テストステロン濃度が低下している傾向が認められた(p=0.05)。しかし、サンプル数が少ないため、次年度も引き続き患者さんのサンプリングを行なっていき、随時追加してデータを収集する予定である。 また、毛髪サンプルの収集と並行して、既存のサンプルを用いて、健常者200名、うつ病患者200名、統合失調症200名、躁うつ病患者200名の血漿中テストステロン濃度の測定も行なった。その結果、血漿中テストステロン濃度はいずれの疾患でも健常者と有意な差は認められなかった。このことから、日内変動や性周期に影響を受けやすいテストステロンは、血漿サンプルを用いた測定方法では正確に測定ができていない可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度はコロナウイルスの蔓延もあり、被験者さんのリクルートに大きな影響があった。被験者さんのリクルートには紙媒体やWebを使った方法を使っているほか、病院の外来からの紹介により募集しているが、施設内で研究活動の自粛期間を設けたりなどしており、一時的にリクルートを中止せざるを得ない状況もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はコロナウイルスの感染対策を徹底した上で、引き続き被験者さんのリクルートを行なっていく。サンプルがある程度収集できた時点で、ステロイドの抽出を行なっていき、コルチゾール、DHEA、エストロゲンなど他のステロイドの測定を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
学会がオンライン開催になったため、旅費を計上しなかった。また、サンプリングが滞ったため、新たに測定用の試薬の購入もしなかった。昨年度から収集してきたサンプルを今年度は測定する予定のため、今年度は試薬の購入で経費を使用予定である。
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