2020 Fiscal Year Research-status Report
小児期の感覚過敏性の脳神経学的基盤と言語発達に与える影響について
Project/Area Number |
19K17107
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
安間 裕子 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任研究員 (00836512)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 感覚過敏 / 言語機能 / 興奮/抑制バランス / MRS / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Hamamatsu Birth Cohort (HBC) Study に参加する児を対象に、9歳時にMRSを用いて測定された聴覚野の E/I balanceの不均衡が感覚の過敏さに関連するか、そして幼児期(18ヶ月)の感覚に対する敏感さが、学齢期の E/I balanceの不均衡を予測するかどうかを検討すること、聴覚野における E/I balance の不均衡は言語機能と関連するかどうかを検討することを目的としている。現在、HBC Studyに参加する840名について、9歳時の認知機能について、Wechsler Intelligence Scale for Children-Fourth Edition (WISC-Ⅳ)を用いた測定とデータ入力を終えた。幼児期の感覚の敏感さについては、Early Childhood Behavior Questionnaire (ECBQ) の下位尺度であるperceptual sensitivityを用いて既に18ヶ月時に測定済みである。WISC-Ⅳとperceptual sensitivityの両者について測定データのある808名について関連を解析した。解析では児の性別、出生体重、在胎週数、両親の年齢、教育歴、世帯年収で統制している。解析の結果、18ヶ月の感覚の敏感さは、WISC-Ⅳの下位検査のうち、言語理解、知覚推理と有意な関連を示した(それぞれβ=0.12, p=0.001, β=0.11, p=0.03)。一方でワーキングメモリー、処理速度とは有意な関連を示さなかった(それぞれβ=-0.05, p=0.91, β=-0.77, p=0.09)。幼児期にみられる感覚に対する敏感さは、学齢期の言語的な能力を予測するだけでなく、非言語性の推理力といった能力をも予測すると考えられる。今後はこれらのメカニズムの一部を解明すべく、MSRによるE/I balanceの測定と解析、論文執筆を進めていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、Hamamatsu Birth Cohort (HBC) Study に参加する児1258名を対象に追跡調査を実施している。認知機能測定については対象者840名の検査実施が終了したが、MRSについては測定ができていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度については、産休・育休取得のため、研究期間の中断を予定している。復職後にMRSを用いた研究の再開および論文執筆を進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
予定していた実験用の物品や解析ソフトの購入がまだできておらず、物品費の使用がなかった。また学会発表のために予定していた旅費も使用できていない。研究再開後にこれらの物品の購入や旅費の使用を計画している。
|