2019 Fiscal Year Research-status Report
外傷性脳損傷慢性期における脳萎縮・後遺症へのアミロイド蛋白沈着の影響
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19K17110
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生方 志浦 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (40738960)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 外傷性脳損傷 / 局在損傷 / びまん性軸索損傷 / PET / MRI / アミロイド / 後遺症 / 脳萎縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は外傷性脳損傷患者に置いてアミロイドPositron Emission tomography(PET)とMagnetic Resonance Imaging (MRI)を用いて脳の形態的、病理学的変化を継時的に観察し、慢性期に残存する後遺症の要因を明らかにすることである。具体的には亜急性期以降の外傷性脳損傷患者に対し、①アミロイドPETによる脳組織内の異常アミロイド蛋白沈着の分布パターンを評価する、②MRIによる脳構造の変化(脳萎縮の程度)を調べる、③一定時間経過した後にアミロイドPET、MRIを再度行い、時間経過による脳の形態学的、病理学的変化を調査する、④合わせて後遺症との関連を探索する、という計画である。これらにより外傷性脳損傷で進行性に生じる脳萎縮とアミロイド沈着との関連を明らかにする。さらに慢性期に残存する後遺症の原因について、脳の器質的・病理学的変化という観点から探索する。 現在までに脳損傷患者20例のアミロイドPET、MRI、後遺症の1回目評価のデータを取得済みであり、本年度はこれらのデータ解析を実施した。外傷性脳損傷では損傷のタイプが大きく2つあり、頭部への直逹外傷による局在損傷と、回転加速度によるびまん性軸索損傷に分けられる。本研究ではまず20名の患者を局在損傷群とびまん性軸索損傷群にわけ、それぞれの群におけるアミロイド沈着と脳萎縮のパターンを探索的に解析した。結果、同年代の健常被験者と比較し、びまん性損傷患者群は全体的にアミロイドが沈着が多く、反対に局在損傷患者群では沈着が少ないことが示された。両群とも脳萎縮が認められたが、そのパターンは異なることが示された。 外傷性脳損傷では損傷タイプによってアミロイド沈着のパターンが異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度後半は産休により研究を一時中断したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施したPET、MRIの解析結果から、外傷性脳損傷における器質的、病理的的変化は損傷パターンに依存することが示唆された。一方で、これまで用いられてきた画像解析の手法では、形態的変化の影響により、局在損傷の影響を厳密に除外することが難しいこと、全般的な脳萎縮の影響を考慮する必要があることなど、手法の問題点が浮き彫りとなった。これらの問題を解決すべく、まずはMRIを用いて形態変化を正確に評価する手法を開発する必要があり、今後着手する予定である。 また他疾患の研究から、アミロイド病理はタウ病理と密接に関連することが示されており、本研究においてもタウPETの追加も検討している。
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Causes of Carryover |
本年度後半産休により研究を一時中断したため
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