2023 Fiscal Year Annual Research Report
前頭側頭型認知症の病態における細胞ストレス関連翻訳機構の関与について
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19K17111
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
近江 翼 埼玉大学, 教育機構, 准教授 (00752122)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | C9orf72 / non-AUG翻訳 / 翻訳開始因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
前頭側頭型認知症(FTD)は、前頭葉および側頭葉に選択的な強い神経変性をきたし、人格変化や強い行動障害を伴うため、精神科的介入を要することも多い認知症として知られている。4大認知症の中でも、未だ病態が解明されていないことが多く、治療薬も存在しないことから、その治療薬の開発に期待が集まっている。近年、FTDの原因遺伝子であるC9orf72のG4C2異常延長リピートは、開始コドン非依存性の特異なメカニズム(non-AUG翻訳)を介してジペプチドリピートタンパク(DPR)へと翻訳され、DPRは強い神経毒性を有し、それが病態の一因となっている可能性が示唆された。また、ストレスに晒された細胞はストレス顆粒を形成し、mRNAおよび翻訳開始因子をその中に閉じ込めて翻訳を抑制する。同時に、ストレス応答下に誘導される代替翻訳開始因子を用いた別の翻訳機構により、シャペロンなどの細胞ストレス応答タンパクを優先的に翻訳することで細胞の生存維持を図ることが知られている。FTDの神経病理所見にみられるTDP-43やFUS陽性の細胞内封入体はストレス顆粒が不溶化したものとされており、神経病理学的にも細胞ストレス応答との深い関連が示唆されている。これらのことから、細胞のストレス応答下で選択的に誘導される翻訳機構とDPR産生の関係の詳細が明らかになれば、FTDの新規治療標的の同定も可能になり得ると考えられる。本研究では、non-AUG翻訳が用いる翻訳開始因子またはその調節因子の同定について様々な角度から妥当性、蓋然性の検証を進めており、有望な候補分子が同定されつつある。2023年度は最終年度として、これまでの成果を解析し、研究成果の公表を目指したが、新型コロナウィルス感染拡大等の影響を受けたため、研究の進展が大幅に遅れることになった。結果的に、現在もこれまでに同定した因子の作用機序の検証・分析中である。
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Research Products
(1 results)