2020 Fiscal Year Annual Research Report
TREM2遺伝子のエピジェネティクス変化による精神神経疾患のバイオマーカー同定
Project/Area Number |
19K17113
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
尾崎 優樹 愛媛大学, 医学系研究科, 研究員 (40769527)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)とレビー小体型認知症(DLB)は、臨床的、病理学的、遺伝的、生化学的に共通点が多い。過去にDRD2の機能的SNPがPD患者におけるレボドパの薬物療法の効果や副作用に影響を与えること、DLB患者におけるレボドパおよびドーパミンアゴニストの過敏性に影響を与えるということなどが報告されている。 我々はPD患者やDLB患者の白血球における遺伝子発現量やDNAメチル化率を測定することで、これらの疾患の鑑別診断や治療のバイオマーカーになりうるかを検討したいと考えている。 今回我々は、PD患者(37名)とDLB患者(23名)、性、年齢の一致した健常者の末梢白血球中のTREM2プロモーター領域、計4つのCpGサイトにおける遺伝子発現量を測定したが、PD患者群、DLB患者群ともに健常者におけるTREM2発現量との間に有意な差が認められなかった。 また同サンプルにおいて、DRD2プロモーター領域、計7つのCpGサイトのメチル化率を測定した。その結果、PD患者は健常者と比較して、すべてのCpGサイトにおいてDRD2メチル化率が低い傾向にあった。一方、DLB患者は健常者と比較して、6つのCpGサイトにおいてDRD2メチル化率が高い傾向にあった。7つのCpGサイトにおけるDRD2のDNAメチル化率を使用したPDとDLBの判別分析により、感度と特異度はそれぞれ83.8%と90.9%であり、DRD2のメチル化率がPDとDLBの診断のバイオマーカーとなり得ることが示唆された。(Ozaki Y et al. DRD2 methylation to differentiate dementia with Lewy bodies from Parkinson's disease. Acta Neurol Scand. 2020 Feb;141(2):177-182.)
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