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2019 Fiscal Year Research-status Report

関連候補遺伝子WDR3に着目した統合失調症の女性に特異的な分子病態の解明

Research Project

Project/Area Number 19K17124
Research InstitutionNational Center of Neurology and Psychiatry

Principal Investigator

小林 桃子  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, リサーチフェロー (30837274)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2021-03-31
Keywords統合失調症 / 性差 / WD repeat domain 3 / 関連候補遺伝子 / 海馬
Outline of Annual Research Achievements

統合失調症の病態に関して、発症年齢・転帰・治療薬への応答に性差があることが報告されているが、その分子細胞基盤は不明な点が多い。WDR3遺伝子は、先行研究の分子遺伝学的研究において、女性の統合失調症との関連が認められた新規の統合失調症関連遺伝子である。WDR3は、18s rRNAのプロセシングに関与しているため40Sサブユニットの合成に必須であり、脳を含む幅広い組織で発現している。しかし、性差を含む統合失調症病態メカニズムとの関連性だけでなく、中枢神経系におけるWDR3の役割自体も明らかにされていない。本研究では、WDR3の中枢神経系での発現と機能、さらに発現変化による神経機能への影響を明らかにするとともに、性別因子の関与を検討することで、統合失調症の女性に特異的な分子病態の解明を目的としている。
今年度は、中枢神経系におけるWDR3発現の基本的なプロファイルを明らかにすることを目的として、免疫組織化学的解析および分子生物学的解析を行った。その結果、WDR3は脳の神経細胞に広く発現をしていることが明らかとなり、qPCR法による定量解析では、WDR3ヘテロ欠損マウスの海馬においてWDR3の下流シグナルにある18S発現量の有意な減少が認められた。このような変化は大脳皮質では認められなかった。WDR3遺伝子欠損マウスは、ホモ欠損が致死性で生まれないため、野生型およびヘテロ欠損マウスで解析を進めている。組織学的解析では、ヘテロ欠損による大脳皮質および海馬の層構造の乱れは認められなかった。海馬に着目をして、発達期別(neonate: 7日齢、juvenile: 5週齢、adult: 10週齢)・性別にWDR3のmRNA発現定量解析を行ったところ、雄では発達に伴い、有意に発現量が減少しているのに対し、雌では有意な減少は認められなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

WDR3遺伝子欠損マウスの凍結精子の入手および繁殖に時間を要した。さらに、免疫組織化学染色に必要な抗マウスWDR3抗体の作製および作製抗体の特異性の検討が計画に加わり、計画当初のスケジュールより遅延が生じた。

Strategy for Future Research Activity

先行研究のがんの論文において、WDR3の発現を抑制することで18S rRNA発現量が減少し、40Sリボソームサブユニットの生合成が障害されることで、細胞周期が停止すると報告されているが(McMahon 2010)、脳における発現変化の影響は明らかになっていない。
初年度の発現解析より、WDR3ヘテロ欠損マウスにおいて海馬18S rRNA発現量の減少が認められたが、WDR3発現はadult neurogenesisに影響を与えるのかどうか、Ki-67およびDoublecortinを用いた免疫組織化学染色により検証する。さらに、統合失調症で発現変化が報告されている分子 (NR1, NR2A, NR2B, Parvalbmin, GAD67, Reelin, CNPase, MBP, Calretinin, Calbindin等) の発現が、WDR3ヘテロ欠損マウスの海馬において変化しているのかどうかをqPCR法を用いて解析を行う。これらの実験により、海馬におけるWDR3の役割および統合失調症との関連を分子レベルで評価する。
さらに、WDR3遺伝子欠損マウスを用いて海馬依存性の行動変化が認められるかどうか行動解析を行う。具体的には、情動行動・短期記憶を評価するために、オープンフィールドテスト・Y字型迷路試験を予定している。
以上により、中枢神経系におけるWDR3の機能および統合失調症病態への関与を明らかにする。

Causes of Carryover

遺伝子改変マウスの凍結精子を早期に入手可能となり、研究計画をin vivoの解析に絞ることにしたため、細胞培養に必要な機器の購入が不要となった。しかし凍結精子の購入費および海外からの輸送費用が必要となったほか、特異抗体の作製等の物品購入に予算が必要となったため、これらの費用に充てた。
繰り越し分については、次年度に必要となる試薬が高額であるため、その購入費用に充てる。

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Published: 2021-01-27  

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