2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K17126
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 創大 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 研究員 (00826092)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 陽子線透過画像 / 陽子線CT画像 / スキャニングビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はスポットスキャニングビームによる高精度の陽子線イメージング手法を開発し、臨床に必要な精度の陽子線CT画像取得法を確立することである。2021年度は2020年度に引き続き、モンテカルロシミュレーションを用いて画像改善手法の開発と検証を行うとともに、実験によるスキャニングビームを用いた陽子線イメージングの実証実験を行った。2019年度に構築したParticle and Heavy Ion Transport code System (PHITS)を用いたモンテカルロシミュレーションによって得られた、様々な形と物質から成る人工物ファントムや人体X線CT画像をボクセルファントム化した被写体に対しての陽子線イメージングデータに対して、本研究独自のスポットごとのデータを用いた陽子線軌跡補正を行うことで画像劣化要因である陽子線線量データの側方散乱成分を除去し、ある一定の画質向上を実現した。これらの研究開発と同時に、スキャニング照射によって生じうる被写体の動きに起因する画質劣化を改善するため、陽子線治療装置に付属する2対X線透視装置を活用したゲーティング陽子線イメージング法を開発し、実証実験によって大幅な陽子線透過画像の画質向上に成功した。これらの研究開発は、世界初となる動きを伴う被写体に対する陽子線イメージングの実験結果として論文としてアウトプットされ、動きのある被写体に対して画質劣化が生じやすいスキャニングビームを用いた陽子線イメージングの実用化を前進させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的に申請時に提出した計画に沿って研究開発は行われており、順調に研究開発が進んでいることから、現在までの研究開発の達成度はおおむね順調に進んでいると評価した。2019年度に構築したモンテカルロシミュレーション環境を用いて、人工物ファントムや人体CT画像をベースとしてボクセルファントムデータを用いた様々なシミュレーションデータを取得し、202年度に開発した画像補正法を用いて陽子線イメージングの高画質化に成功した。2021年度には2020年度に課題となっていた実験による検証を進めることができ、研究を進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
考案した画像補正法について、さらなる手法改善によって実際の臨床利用可能な画質を実現する。また実証実験については、人体ファントムの複雑な構造の被写体の検証が今後の必要であり、進めていく。昨今のコロナウイルスの影響もあり学会発表があまりできていないため、今後アウトプットをしていく。
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Causes of Carryover |
昨今のコロナウイルスによる情勢により、出張実験や学会参加の機会が当初の予定より少なくなった。次年度に実験や学会参加をする予定である。
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