2019 Fiscal Year Research-status Report
テクスチャー解析とディープ・ラーニングのPETへの応用を目指した基礎的研究
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19K17127
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 健太郎 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (70756311)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 核医学 / ポジトロン断層法 / radiomics / texture解析 / deep learning |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性腫瘍の日常診療において、体内のブドウ糖代謝の分布を画像として表すFDG PET-CTは、重要な役割を果たしている。得られた画像は、熟練した診断医の眼で診断されているが、専門医のいない病院も多く、AI技術に対する期待は大きい。しかし、実臨床に応用するための基礎的データがまだ十分に得られていない。コンピューターを利用した画像診断において注目されている手法が、radiomicsとdeep learningである。Radiomicsは、病変の形や内部不均一性などをピクセル値の計算式で数量化し、診断に役立てようという技術あるいは研究分野である。Deep learningは深層のneural networkを用いて特徴量の設計過程を機械学習に含めてしまう手法である。本研究課題では、radiomicsとdeep learningの技術をFDG PET-CTの自動診断に用いるための基礎的なデータを得るために、大きく3つの柱を立てて研究に取り組んでいる。 1)3Dプリンターを用いてファントム(生体や腫瘍を模した立体)を作成し、RIを充填してPET装置で撮影した画像をradiomicsとくに不均一性を数量化するtexture解析で処理し、もとのファントムの形状と比較検討する。 2)腫瘍モデル動物に対してRIを投与してから動物用PET装置で撮影し、得れた画像をtexture解析によって処理する。撮影後に病理組織から得られる情報と、texture解析で得られた情報とを比較検討し、texture解析によって病理組織を予測することができるかどうかを明らかにする。 3)日常診療で得られたPET画像を後ろ向きに解析し、deep learningによって悪性腫瘍の有無を判定できるかどうかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要に記載したとおり、本研究課題では、1)ファントム実験、2)動物実験、3)臨床研究(後ろ向き解析)の3つの柱に沿って研究を進めている。 1)ファントム実験については、3Dプリンターで不均一ファントム3個、脳ファントム3個を作成した。ファントムの作成にあたっては気泡が入らないように形状を工夫した。F-18およびO-15を充填したうえで、高い空間分解能を持つ半導体PET-CT装置で撮影した。これを2020年6月開催予定の米国核医学会に演題として提出し、口演で採択された。 2)動物実験については、2019年度内にPETによる撮影と病理組織の採取が一部完了した。 3)臨床研究(後ろ向き解析)については、北海道大学病院で過去に撮影されたPET 3485例に対して、a)異常なし、b)悪性腫瘍あり、c)どちらともいえない、の3値の教師ラベル(画像診断医が判定)を作成し、これをconvolutional neural networkの1つであるResNetに学習させ、自動判定させる実験を行ったところ、a)異常なしをa)異常なしと判定する精度として99.4%、b)悪性腫瘍ありをb)悪性腫瘍ありと判定する精度として99.4%が得られ、実用可能性が十分に高いと考えられた。なお、この検討結果は、以下の論文に公表済みである(A convolutional neural network-based system to classify patients using FDG PET/CT examinations. Kawauchi K, Furuya S, Hirata K, Katoh C, Manabe O, Kobayashi K, Watanabe S, Shiga T. BMC Cancer. 2020 Mar 17;20(1):227)。
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Strategy for Future Research Activity |
前項と同様に3つの柱に沿って記載する。 a)ファントム実験においては、得られた画像データに対してtexture解析を行い、ファントムの形態を区別できるかどうか検討する。texture解析には、北海道大学で開発したMetavol (http://www.metavol.org)およびPTexture (https://github.com/metavol/ptexture)を使用する。また、計算されたtexture特徴量からファントム形態を予測するための手法として、support vector machineやrandom forest等の従来型の機械学習法を用いる。 b)動物実験においては、ファントム実験に対する処理と概ね同じ手法をとる。すなわち、texture解析によって得られた特徴量に基づいて、病理組織指標(免疫染色によって得られる指標を含む)を予測できるかどうをか、種々の機械学習法を用いて検討する。 c)臨床研究においては、PET画像を3値分類する研究が完了したため、次にPET画像の異常部位を特定する研究を行う。具体的には、異常集積部位の輪郭を画像診断医が用手的に決定したものを教師データとして使用し、convolutional neural networkによって異常集積部位をsegmentationできるかどうかを明らかにする。教師データとして200例の臨床症例に対して用手的に腫瘍輪郭を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
当初、Deep learningを行うためのGPU搭載の高性能コンピューターを購入する予定であったが、共同研究者が応募していた他研究費が採択されたため、他研究費によって購入した高性能コンピューターを利用して本研究課題の計算処理を行った。このため、本研究費では高性能コンピューターを購入せず、当初に比べて予算使用額が減少した。 2020年度は、画像解析用のコンピューター、データ保存用固定ディスクの購入、新たなファントムの作製(材料費、作製費)、研究打ち合わせのための旅費、学会参加のための旅費、論文投稿、英文校正等に支出予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] A simplified brain-shaped phantom to evaluate O-15 image quality of digital photon counting PET-CT2020
Author(s)
Kenji Hirata, Keiichi Magota, Naoto Numata, Michiaki Endo, Mao Kusuzaki, Daiki Shinyama, Ronee Asad, Kentaro Kobayashi, Tohru Shiga, Kohsuke Kudo
Organizer
Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging, 2020 Annual Meeting
Int'l Joint Research