2020 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of placental and fetal oxygen concentration in fetal growth restriction by MRI and effect of tadalafil treatment
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19K17134
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
二井 理文 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90790832)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | fMRI / BOLD / FGR / 胎盤の酸素濃度変動 / タダラフィル / 2D-Phase contrast法 / 子宮動脈血流量 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児発育不全(fetal growth restriction:FGR)は、胎盤の虚血、低酸素を成因とし、胎児への持続的な低酸素暴露により発育が抑制されるが、胎盤、胎児の 酸素濃度の変動を直接測定する方法は確立していない。我々は、ホスホジエステラーゼ(PDE5)阻害薬のタダラフィルがFGRに効果があることを見出し、基礎研 究・臨床研究を実施し、妊娠延長と胎児発育の改善が観察された。本研究では、functional magnetic resonance imaging(fMRI)を用いたblood oxygen level dependent(BOLD)、2D-Phase contrast法をFGR妊婦を対象に行い、胎盤、胎児の酸素濃度の変動および子宮動脈血流量を評価する。その後、FGRに対するタダラフィルの治療効果に関して検討することを目的としている。対象妊婦は、20歳以上45歳未満で、妊娠20週以上のFGRを発症した妊婦(推定体重-1.5SD以下)である。対象群は、同年齢の合併症のない正常妊婦とした。BOLD法を用いたfMRIを、胎盤の酸素濃度の変動を測定した。評価項目は、curve、peak ΔR2*、time to peak ΔR2*、Slope of time-ΔR2*であり、各々、酸素化の感受性、酸素取込み能、その比である。次に、タダラフィルのFGR治療法確立のための研究として、妊娠20週から34週未満のFGR症例を対象に、タダラフィルの投与前と血中濃度が安定する投与開始後約1週間の投与後4時間後において、2D-Phase contrast法を実施し、子宮動脈血流量の変化を評価することで、治療効果について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず、我々のBOLD-MRIのプロトコルを確立するために、正常単胎妊婦18名(妊娠32週以上)を対象とし、胎盤fMRIを施行した。評価項目である①peak ΔR2*、②time to peak ΔR2*は各々7.99±2.58、458.1±73.9秒であり、peak ΔR2*と出生体重との間(r=0.537,p=0.022)に有意差を認めた。peak ΔR2*と胎盤重量との間に相関はなく(r =0.193, p=0.443)、我々のプロトコルで問題なく、胎盤の酸素化を示していることを証明した(論文発表済)。その後、正常27人42例(正常群)、FGR15人21例(FGR群)にBOLD-MRIを施行した。FGR群でtime to peak ΔR2*有意に低下していることから、酸素の感受性が正常群に比べて低下している可能性が示唆された。また、Slope of time-ΔR2* curveが短縮していることから、酸素取り込みが亢進している可能性が示唆された。次に、FGR群の内、タダラフィルを投与した6例について約1週間後に撮像したMRI検査では、time to peak ΔR2*、Slope of time-ΔR2* curveは、各々低下・短縮していた。酸素取り込みがタダラフィル内服により、亢進している可能性が示された。また、タダラフィル投与FGR群6例と、週数をマッチさせた正常妊婦6例の両群に、約1週間の期間をおいて2回子宮動脈血流量の測定を行った。子宮動脈血流量の増加率は、各々平均16.0%、6.1%(P=0.011)であり、タダラフィルによる有意な血流増加が認められた。当初これらを2年計画で行う予定であったが、FGRでのBOLDの解析が困難であったこと、機械の故障があったこと、コロナ蔓延の影響により研究推進が遅れるとともに論文化するのに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を通して得られた知見として、BOLD-MRIにて胎盤の酸素化を問題なく評価できた。また、2D-Phase contrast法で子宮動脈血流量を高精度で評価できることが分かった。胎盤酸素濃度変化と子宮動脈血流量の変化との関連性を追求することで、さらに精度の高い胎盤機能評価を行うことができる可能性がある。問題点として、FGRのBOLD解析が困難であること、当初の計画にあったBiomarkerが諸事情により検査できていないが、これらの問題を解決することで、さらに精度の高い胎盤機能の評価ができる可能性があり、検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究では、functional magnetic resonance imaging(fMRI)を用いたblood oxygen level dependent(BOLD)効果を応用し、FGR妊婦を対象に、胎盤、胎児の 酸素濃度の変動を直接測定できる方法を確立し、また子宮動脈血流測定についてもその方法を確立し応用する。その後、タダラフィルのFGR治療法の効果に関して検討することを目的としている。新型コロナウィルスの流行により、各種国際学会、国内学会に参加することができず、当初予定していた旅費を計上することができなかった。また、論文作成が遅れたため、投稿費、校正費が不要であった。これらの理由により、次年度使用額が生じた。今年度は、最終年となるため、各種学会発表に加え、論文を完成させることで、投稿費、校正費に使用する予定である。
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[Journal Article] Developmental Evaluation of Infants Who Have Received Tadalafil in Utero for Fetal Growth Restriction.2020
Author(s)
Maki S, Kato I, Enomoto N, Takakura S, Nii M, Tanaka K, Tanaka H, Hori S, Matsuda K, Ueda Y, Sawada H, Hirayama M, Sudo A, Ikeda T.
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Journal Title
J Clin Med.
Volume: 9(5)
Pages: 1448
DOI
Peer Reviewed
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