2020 Fiscal Year Research-status Report
超低侵襲を可能にする新規の体液診断マーカーを併用した放射線治療の開発
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19K17140
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川口 弘毅 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60781820)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エクソソーム / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度においては、集積した症例のうち、乳癌患者において涙液中のmiR-21とmiR-200が、コントロール群である健常者の涙液と比較して有意に高発現を呈し、診断および予後予測におけるバイオマーカーになりうる可能性が示唆され論文報告に至った。本年度は担癌患者の症例登録を引き続き進めるとともに、動物実験モデルを作成することによって、涙液による腫瘍由来のエクソソームの挙動を探り、癌診断における涙液の有用性を検討することとした。 まずヌードマウスを用いてヒト由来の膵癌細胞株であるMIA PaCa-2を皮下に移植して血液および涙液を採取してそれぞれの癌細胞由来のエクソソームを計測することを試みた。しかしながら経時的に腫瘍増大が乏しく、また血液、涙液とも癌細胞由来のエクソソームの検出が微量であった。ただし、この過程でヒト由来のCD9濃度を検出することによりヌードマウスの涙液から癌細胞由来のエクソソームを検出することおよび定量的に計測することが可能であることが示された。 次にヒト由来の大腸癌細胞株であるHCT-116を用いて皮下に移植したところ、多くが腹膜播種や鼠径への転移をを呈した。しかし癌細胞由来のエクソソームの検出は、MIA PaCa-2と同様に血液、涙液ともに微量にとどまった。 そもそも血中へのエクソソーム移行が少ないことに関しては皮下移植であり、血中移行するための血管新生があまり起きていない可能性も考えられ、今後移植方法などを検討することとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった体液を用いた新たながん診断ツールの構築という意味では、初年度に乳癌患者における涙液の可能性が示唆され、論文発表に至っていることから一定の成果が得られていると言え、現時点では研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
症例集積の継続により、他癌における涙液のがん診断ツールの可能性については引き続き探索する。また、動物実験については癌細胞の移植方法の再検討などを経て、計画を遂行する。
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Causes of Carryover |
臨床検体の解析および動物実験にかかる物品費について、実験計画が昨年度から今年度にかけて継続している点と、新型コロナウイルス感染症の蔓延により旅費が当初予定より少ないことが挙げられる。引き続き遂行する実験計画にかかる物品費および主に年度後半における旅費として見込んでいる。
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Research Products
(1 results)