2019 Fiscal Year Research-status Report
胎児CT検査にともなう胎児被ばく線量評価方法の確立とソフトウェア開発
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19K17152
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
小林 正尚 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (80720979)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CT / 胎児 / Organ Dose Modulation / 被ばく |
Outline of Annual Research Achievements |
先天的に骨系統疾患を持つ胎児に対する出生前画像診断は,X線CT検査が非常に高い正診率 (94.3%) を有している.しかしながら,超音波検査などの非侵襲的な検査が実施される傾向にある.X線CT検査が選択されない背景には胎児がX線に照射される問題があるためではない.それにより胎児がどれだけ被ばくしたかを適切に評価・管理する方法が確立していない問題があるためである.その結果,将来的な放射線障害を危惧する両親の不安を解消するためのインフォームド・コンセントにてそれを否定する証拠を示すことができない現状にある.申請者は,Size-Specific Dose Estimates (SSDE) の概念を応用して胎児線量の評価法を確立するための研究を行い,それを簡便に評価できるソフトウェアの開発を目指すこととした. 研究目的に対して初年度は,2010年から2017年の間に施行された計13症例の胎児CT検査(妊娠32±3週)に対して,それぞれ検査時の画像と撮影条件をもとにモンテカルロ・シミュレーションを実施することで,胎児の臓器吸収線量と実効線量の実情を把握した.また,それにともないOrgan Dose Modulation(ODM)技術(X線管の角度毎に出力を制御し,重要臓器の被ばく線量を低減させる技術)を用いた胎児被ばく線量低減方法の評価を行った.この技術を利用することにより実効線量6.6mSv±0.6mSvが5.2mSv±0.1mSvと25%程度の線量低減効果を認めることができた.一方,妊婦に対してはODM技術による線量低減効果は限定的であることを確認した.ODM技術は低管電流では低減効果が小さくなるため低管電圧で高管電流において最も効果的であることから,OEMはその特性を理解することで,胎児CT検査に有効なツールとなることを示唆することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,1)胎児CT検査にともなう胎児線量の実態調査と2)胎児被ばく形態の検証を実施することを計画していた.現在1)に関しては研究内容をまとめ論文投稿している状況にあるため進行上に問題はない.また,2)に関しても,胎児が均等被ばくであるのか,不均等被ばくであるかの検証が済んでいる状況にある,
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は3)簡易評価法の構築と4)それを用いたソフトウェア化を実施予定である.3)に関しては,前年度に実態調査と同時進行で結果を評価済みであるため再確認をしていく状況にある.その結果をまとめて論文にて公に公開する予定である. 4)に関しては最終結果を確認後に論文作成と同時進行で順次取組んでいく.
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Causes of Carryover |
次年度使用額としての繰越金が512,185円生じた.これは,論文掲載料や別刷り代として確保していた予算となる.現在論文投稿中であり採択後にはそれに当てる.また,次年度も同様に論文投稿やソフトウェアの作成公開を考えていることから次年度予算は研究機材の新たな購入ではなく情報の公開に費用を利用していく.
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