2019 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍FDG-PETにおけるテクスチャ解析の有用性の検討と標準化に向けての試み
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19K17154
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Research Institution | Hokkaido Cancer Center(Department of Clinical Research) |
Principal Investigator |
齊田 友香 (北尾友香) 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部), 臨床研究部, 診療放射線技師 (60838142)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PET/CT / FDG-PET / Texture Analysis / 不均一 / 悪性腫瘍 / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
テクスチャ解析とは、画像上の関心領域における信号強度の濃淡やその配置を定量化し特徴づける手法であり、医用画像領域においても用いられ国内外で広く研究が行われている。CTやMRIなどで撮像された画像の評価は、従来までは病変の大きさ、形状、血流情報などが主な判定基準であったが、近年、画像の不均一性 (heterogeneity)に注目され、その評価にテクスチャ解析などが行われている。悪性腫瘍の診断を目的としたF-18-Fluorodeoxyglucose を用いたpositron emission tomography (FDG-PET)検査においても、FDGの集積分布を評価するために行われる。テクスチャ解析が抱える問題点として、その手法が非常に多様であり、研究者によって異なる計算式が使用され、算出されるテクスチャ特徴値が数百と非常に複雑である、といった現状がある。そして、その中でどの特徴値が有用であるかが確立されていない。そのため、悪性腫瘍の診断評価に有用性の高い特徴値・計算法を明らかにしていく必要がある。また、FDG-PET検査で従来から用いられている指標は、PET/CT装置のメーカーや機種、画質等による変動が大きいと言われており、その定量値の標準化やharmonizationが問題となっている。これらの問題を解決するために、悪性腫瘍症例のFDG-PET/CT画像を用いたテクスチャ解析の臨床的有用性の更なる検討と、施設間・機種間による特徴値の違いを検証するために不均一腫瘍をモデルとしたファントムを作成し撮像および検討を行うことによって、テクスチャ解析の役割を確立させることに寄与できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は臨床画像を用いたテクスチャ解析の検討と、施設やPET/CT機種間による違いを検討するためのファントムを製作することを計画した。臨床画像を用いるために、北海道がんセンターにおいて倫理審査委員会の認可を得た。【承認番号:31-35】治療前に診療上FDG-PETが施行され、Dual-Phaseによって撮像が行われた悪性腫瘍症例の画像を後方視的に収集し解析中となっている。また、画像再構成条件による比較についてもデータ収集を行うことを検討しているが、研究責任者の所属配置換えおよび新型コロナウイルスの感染拡大により、外部施設への立入りが難しくなっているため進捗が遅れている状況にある。 ファントム製作に関しては、3Dプリンタを用いることを検討したが、NEMA規格PETボディファントムに取付けて使用することを想定すると、精度や強度が現状では不十分になってしまう可能性があるため、外部委託を行うこととした。外径37㎜で内腔をもつ不均一腫瘍をモデルとしたファントム部品を設計後、ポーランドの計測機器会社に製作を依頼した。2020年に入ってから欧州においても新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、ファントム製作に時間を要し、調整を含め完成が遅延した。2020年3月にファントムは完成し、コールド試験を行った後、北海道がんセンターに導入されているTime of Flight技術を搭載したPET/CT装置を用いて、対バックグラウンド比4:1にFDGを調整しデータ収集を行った。再構成データに関しては解析中となっている。 現時点における問題点として、製作したファントムは、内腔が1つ存在し比較的シンプルな形状であるため、より複雑な構造で不均一の評価を行う場合は3Dプリンタ等を使用し製作する必要があることが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
製作したファントムを使用して、機種間の違いによるテクスチャ特徴値を検討するため、複数のPET/CT装置で撮像を行う必要がある。半導体検出器を搭載したPET/CT装置並びに従来型photomultiplier(PMT)検出器搭載のPET/CT装置を用いて撮像を行い比較することを検討している。また、2020年3月に撮像したファントムデータを使用して、Scan Time等、ノイズ条件の違いや再構成方法によるテクスチャ特徴値の違いについても解析を行う予定である。 また、3Dプリンタを使用して、より臨床現場で見られる悪性腫瘍画像に近いモデルを製作することも課題とする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、ポーランドに依頼したファトム製作に時間を要し調整を含め完成が遅延した。そのため、PET/CT装置を使用した実験の進行が遅れたため、薬剤購入費等を持ち越した。また、解析に用いるPCの購入も、それに伴い次年度とすることとした。
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