2020 Fiscal Year Research-status Report
小児重粒子線治療における2次粒子線の曝露による発がんリスクの推定
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19K17155
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
松本 真之介 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所物理工学部, 博士研究員(任常) (10742744)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 重粒子線治療 / リスク評価 / 2次がん / 放射線防護 / 線量測定 / 中性子線量 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の概要及び実績:今年度は、様々な重粒子線治療手技における2次中性子線量をWENDI-IIを用いて測定した。現在までに用いられていた炭素線治療手技の、Range-shifter scanning method (RS-method)、Hybrid scanning method (HS-method)と現在用いている炭素線治療手技のEnergy scanning method (ES-method)とで、治療中に発生する2次中性子を患者の位置で測定し比較した。更に量子科学技術研究開発機構が開発中の複数のイオン線を用いて重粒子線治療の効果を最大化させる治療手技であるIntensity-Modulated Composite Particle Therapyの治療中に発生する2次中性子を患者の位置で測定した。これらの結果は陽子線治療中に発生する2次中性子線量と比較した。 測定結果は、ES-methodはRS及びHS-methodと比較して2次中性子の線量を最大50%程度減少出来ること、炭素線治療は陽子線治療と比較して照射野外の中性子線量が低減出来る事を示した。当該研究結果はRadiation protection dosimetry誌に掲載された。 研究手法の詳細:従来の治療方法であるRS-method、HS-method及び陽子線治療と比較するために、これらの治療手技における2次中性子空間線量等量の報告と同様のジオメトリで測定を行った。重粒子線治療中の患者の体内で発生した中性子場を模擬するために、人体を模擬する水ファントムに重粒子線を入射させた中性子を発生させた。WENDI-IIの位置は患者を模擬した水ファントムから50, 100, 150 cm離れた場所で測定し、更にビーム軸とWENDI-II-ISO-centerのなす角度を90, 60, 30度として測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度計画としてはリスク評価のパラメータ(平均急線量、線量平均線量等量、等価線量)の線量評価及びリスクモデルの作成を予定していた。これらのうちリスク評価のパラメータについては“研究実績の概要”で示したとおり、研究結果が医学物理分野の学術雑誌に掲載されるなど順調に進展している。 他方でリスクモデルの作成に関しては、国外の研究者とのディスカッションを基に策定することとしており、2020年度は感染症の感染拡大に伴う国際学会の開催中止や国外への渡航制限により、国外の研究者との議論をする場が得られず、進捗は多少遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度計画は感染症の拡大に伴う、国外の研究者との議論が進まなかったことから、やや遅れている。したがって、2021年度も継続して研究を推進することとする。具体的な実施内容は、①モンテカルロ計算で求めたリスク評価のパラメータ(平均急線量、線量平均線量等量、等価線量)と、原爆被ばく者及びホジキンリンパ腫の放射線治療経験者等の2次がんリスクデータに基づくリスクモデルから 炭素線治療における2次がんの生涯寄与リスクを求める。②2019年度及び2020年度に実施した評価結果を用いて、新しいリスク評価モデルの作成を目指す。 具体的には、a.現在臓器平均で評価している線量について放射線治療で一般的に用いられるDose volume histogram (DVH)の形式で取得する。b.先行研究としてSchneider et.al., Geng et.al., Eley et.al.が他の放射線治療で実施した新しい2次がんリスク評価式を基として炭素線治療の2次がんリスクモデルを策定しそれにaで取得したDVH形式のリスク評価パラメータを当てはめ、2次がんリスクを評価する。c.各臓器毎に従来法と新しい手法の結果を比較する。
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Causes of Carryover |
2020年度計画として、国際学会への参加や国外の専門家を訪問し放射線被ばくによるリスク評価モデルの作成に関するデイスカッションを予定していた。しかしながら、感染症の拡大に伴う国際学会の開催中止や国外への渡航禁止のため、リスク評価モデルに関する議論を深めることを目的とした、出張をすることが出来なかった。 したがって、2021年度においては、国際的なweb会議等に参加することで国外の専門家とのリスク評価モデルに関する議論を深めることで、放射線被ばくによるリスク評価モデルの作成に資することとする。
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Research Products
(2 results)