2022 Fiscal Year Annual Research Report
骨塩定量ではわからない骨質の評価:コラーゲンの微細磁化構造に着目したMRIの応用
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19K17158
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
唐 明輝 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (80794156)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MRI / 骨質診断 / 骨中コラーゲン / UTE / 磁化率異方性 / 骨強度 / 骨中コラーゲン配向性 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮質骨にあるコラーゲン線維の骨軸方向の配向性をMRIにより非侵襲的に測定できるか検証した。牛の大腿骨サンプル(4ヶ月、2歳)のMR信号が骨軸と静磁場方向の角度によりどのように変化するかを調べた。両サンプルの信号強度は180°周期の角度依存性を示し、骨軸と静磁場方向が垂直の時に最大、平行の時に最小となった。この結果は、骨軸と静磁場方向が垂直の時にコラーゲン周囲の磁場歪みが最小で、骨軸と静磁場方向が平行の時に磁場歪みが最大であることを示唆する。コラーゲン線維は骨軸方向に配向する傾向があり、この磁場歪みの性質はコラーゲン分子の磁化率異方性を反映する。また、骨が成熟するとΔR2*は減少し、牛年齢による磁場歪みの低下が示唆された。コラーゲンが集合した場合はコラーゲンが分散するよりも大きな磁場歪みをもたらすので、若い骨でのコラーゲン線維集合体の存在を示唆し、成熟に従いミネラル量を増加させるための空間がコラーゲン線維間に作られるものと推察される。次に、正常および大理石骨病マウス大腿骨を調べた。両サンプルの信号値はともに180°周期の角度依存性を示したが、正常マウスのΔR2は2.50kHzであり、大理石骨病マウスでは1.46kHzに低下した。大理石骨病の骨中コラーゲン線維の配向性が乱れるという病理所見から、骨軸角度依存性を反映するΔR2が低下したものと解釈できる。さらに、正常マウスの骨軸の位置によるコラーゲン配向性を調べた。骨軸の中央のΔR2は最大であり、骨の両端に向け低下しました。それらの傾向は報告されたX線回折装置での測定結果と一致した。従って、MRIにより非侵襲的に皮質骨のコラーゲン線維の配向性を測定することが可能と考えられる。骨強度を決める重要な因子である骨中コラーゲン配向性情報を活用し、骨強度を反映する骨質を診断する方法の確立が期待できる。
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