2020 Fiscal Year Research-status Report
可変型マルチチャンネルアプリケータを用いた強度変調小線源治療法の開発
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19K17160
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
千葉 貴仁 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医学物理士 (20804868)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 婦人科腫瘍 / 小線源放射線治療 / アプリケータ開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸癌や膣癌などの婦人科腫瘍では、放射線源を配置可能なアプリケータという器具を膣口から挿入し、腫瘍近傍から腫瘍に放射線を当てる小線源治療が広く用いられる。しかし、既存のアプリケータは欧米人を基準に作られた定型の形状であるため、膣口が狭い日本人では挿入可能なサイズ・種類が限られる。さらに、内部の線源配置可能位置も限られた作りのため、患者個別の解剖学的状況に応じて、腫瘍に高線量を投与しながら周囲の正常臓器線量を抑える最適な線量分布作成が困難となる場合が多い。そこで本研究では、患者毎に最適な線量分布を容易に作成可能とするため、患者個々の膣形状に可変して密着し、その内部の任意位置に線源配置可能な可変型マルチチャンネルアプリケータを開発する。 令和2年度は、試作したアプリケータの評価を行うためのファントム開発と試作したアプリケータの機能評価を中心に行なった。本研究により開発するアプリケータ形状は密着性、耐久性、安全性、実臨床を考慮した扱い易さを重要視するため、より実際の人体に近いファントムが求められる。小線源治療経験豊富な放射線治療専門医や放射線関連機器メーカーのみならず婦人科関連機器メーカーと意見交換を行い、ファントムのベースの購入と改良を行なった。開発したファントムを用いて現在までの試作アプリケータを評価し、材質や細かい機能について、更なる検討が必要と分かった。また、より実臨床を考慮した開発を行うためにファントム自体にも改良の余地があることが明らかとなった。 令和3年度は、引き続きファントムの改良とそのファントムを用いたアプリケータの機能評価を行うことで、最適な素材の検討を行い、アプリケータを完成させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ファントム開発に際し、目的とする使用方法に合う既製品は見つからず、ベースの購入後に改良が必要な点が多く、その改良の設計と作成に時間を費やした。また、アプリケータの評価を進めていく内に、より実臨床に近い条件となるように何度も修正を行う必要があったため。また、試作したアプリケータの設計からの改良が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
アプリケータ形状の再設計を行い、素材メーカーとも相談しながら素材の検討・確定を行う。また、評価用ファントムに関しては開発するアプリケータの主要な機能である患者個別の解剖学的状況に依らずに可変して密着可能か、チャンネルの配置の自由度や安定性・使い易さに関して、過去に治療を行った症例を基に様々な状況を再現できるように改良を加え、アプリケータ開発を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、学会参加等の出費がなくなり、研究補助員の雇用や素材・機器メーカーと打ち合わせ等がうまくいかないこともあり、研究を予定通り進めることができなかった。また、大きな改良よりも小さい既存の物品を用いての開発が多かったことから新たな開発費用がかからないことが多かった。開発が進んできたことで、より具体的に試作の設計ができるため、高額となる医療素材を利用した作製に使用する予定である。
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