2019 Fiscal Year Research-status Report
生体肝移植における過小グラフト症候群と門脈壁剪断応力:4DFlowとCFD解析
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19K17165
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
兵藤 良太 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (80831388)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 4D flow MRI / CFD / 肝移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずは4D flow MRIを迅速・確実に撮像できるように環境整備から行った。担当するMRI技師と話し合い、4D flow MRIの時間やプロトコール、MRI撮像可能時間などを確認し、その撮像方法に関してメーカー担当者に来ていただき、MRI技師に説明会などを行った。 続いて、ボランティアスタディとして単純MRIでの4D flowを撮像した。これは健常者を対象に行い、4D flowや位置決め画像の詳細などのプロトコールや、呼吸同期の位置、心電図の位置なども含めて評価し、決定した。最終的に画質やCPUメモリなどの条件から当院の1台のMRI(Prisma, Siemens)ですべての研究を行うこととした。 4D flowの妥当性を評価するためにこのMRI(Prisma)でファントムスタディを行った。グリセリン溶液を血液に見立て、様々な条件で血管モデルに還流しながら超音波流量計、2D-Phase contrast MRIおよび4D flow MRIを撮像し、これらの間に有意な計測誤差がないことを確認した(つまり、4D flowの計測データに妥当性があることを確認した)。 その上で、患者に対しても撮像を開始した。まずは生体肝移植後の門脈狭窄に対する経カテーテル的門脈形成術を予定した患者に対し、その術前後で4D flowを撮像した。良好な画質でデータが得られ、これを解析し、現在英語論文として投稿中である。さらに今後移植外科と共同で、移植ドナーおよびレシピエントの術前後の4D flow撮像を行うことも具体的に決定し、新年度より開始する。 またこれとは別にComputational Fluid Dynamics (CFD)に関しても患者のCTデータやMRI時に撮像した2D Phase contrast MRIから計算を行うために必要な条件を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定のうち、ボランティアスタディで4D flow MRI撮像条件等を確認すること、ファントム実験により4D flow MRIの流速・流量の妥当性(超音波流量計と2D Phase contrast MRI、4D flow MRIの間に有意な計測誤差がないこと)の確認は終了しており、さらに患者を対象とした研究もスタートしている。しかし、当初の予定より症例数がまだ少なく、MRI環境の改善(MRI検査が混んでおりその枠を確保するための交渉、MRI技師に撮像法を学んでもらうこと、4D flow MRIプロトコールの作成)に時間がかかったため、3か月程度の遅れとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
生体肝移植ドナーおよびレシピエントの術前、術後4D flow MRIを撮像し、血行動態の評価や血流の変化と肝増大との関連について検討していく。これらに関しては4月より開始となった。さらに、すでに1例経験しているが移植後脈管系合併症に関しても引き続き治療前後で4D flow MRIを撮像し、血行動態の変化やその肝臓・他臓器に対する影響等を検討していく。さらにComputational Fluid Dynamicsを使用し、適切な肝切除の予測、脈管吻合の予測なども検討していく。
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Causes of Carryover |
当初使用予定であった解析ソフトウェアは当院新規低侵襲画像診断法基盤開発研究寄付講座の竹原教授のパソコンにインストールされており、これを使用させていただいているために解析ソフトウェアを計上する必要がなくなった。ボランティアスタディにおいても竹原教授と共同で行ったため、その費用が少なく済んだ。また、コロナウイルスの影響もあり、国内・国際学会が延期・中止となったことで発表の機会がなくなり、その分支出は減少した。次年度、コロナウイルスの影響がなくなれば、複数の研究結果を報告するために国内・国際学会に予定より参加数が増えるかもしれない。
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