2020 Fiscal Year Research-status Report
生体肝移植における過小グラフト症候群と門脈壁剪断応力:4DFlowとCFD解析
Project/Area Number |
19K17165
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
兵藤 良太 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (80831388)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 4D flow MRI / CFD / 肝移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
名古屋大学移植外科と連携し、生体肝移植前のドナーおよびレシピエントに対して、十分なインフォームドコンセント後に、移植前後での4D flow MRIの撮像を行った。今年度はドナーの10例、レシピエントの4例を撮像した。これら4D flow MRI撮像の経験により、MRI撮像パラメータをブラッシュアップしつつ、研究として一貫できるような撮像法を放射線科医師・放射線技師のチームで検討した。しかし移植術後の撮像は手術1週間後を基本としたため、術後の全身状態が芳しくない症例は術後撮像ができない場合もあった。手術後の患者は術後3か月程度でCTを撮像し、肝体積の変化を確認した。現在さらなる症例集積中である。 現状はまだ数字での評価や統計などは行っていないが、門脈の血流や流れの向き、門脈吻合部での狭窄や狭窄部遠位の血流の流れ方の変化、遠肝性側副路の形成やその血流量が可視化され容易に計測・評価ができ、移植外科医からは手術のマッピングとして有用で、術後何が起きているか超音波検査と違って全体が容易に見えるのでわかりやすいと好評である。 また、これと並行して移植後の門脈狭窄症や側副血行路形成に対する治療前後の4D flow MRIも撮像し、血行動態の変化や治療効果、合併症の発生機序を検討した。そのうち、門脈狭窄に対しステントを留置した症例に関して英文論文として報告した(Magn Reson Med Sci. 2020 online ahead of print.)。また肝性脳症の治療前後の4D flow MRIでの血行動態の解析、治療効果の可視化に関しても英文論文として報告した(Hepatol Res. 2021: 51; 343-349.)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究1年目(2019年度)にMRIの検査枠の確保や移植外科との折衝、撮像パラメータの作成に時間がかかったので、その分研究スタートが遅くなった。また本年度はコロナウイルス感染のために、特に前期で肝移植手術が遅延する事態となり、そのため手術を行う患者も全身状態の悪い者を優先したため、MRIが撮像できないことが多かった。2020年度は順調に検査を予定したが、レシピエントに関しては術後患者状態の悪化や術前からMRI撮像困難な全身状態の患者も多く、数症例の追加にとどまった。ドナーは順調に症例が集積している。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在は安定して4D flow MRI検査が行える状態になっており、今後ともドナー、レシピエントとも症例を集めていく。これと並行して肝体積増大や肝機能の変化の検査、予後調査なども行い、手術による門脈血流の変化との関連を調査する。
|
Causes of Carryover |
研究の遅れにより、症例数が少なかったため、次年度使用が生じた。さらなる症例集積が必要なため、研究の持続と結果の解析、学会発表や論文作成に使用する計画である。
|
Research Products
(3 results)