2019 Fiscal Year Research-status Report
クマリンを基盤とした炭酸脱水酵素IX標的がんセラノスティクス用薬剤の開発
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19K17166
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯國 慎平 京都大学, 薬学研究科, 助教 (70837731)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炭酸脱水酵素IX / イメージング / セラノスティクス / 固形腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
固形腫瘍の低酸素領域に高く発現することが知られている炭酸脱水酵素IX (CA-IX)を標的としたがんセラノスティクス薬剤の開発を目的として、金属配位子であるDOTAにクマリン誘導体(CA-IXリガンド)を2分子導入した新規化合物CM2を設計・合成した。CM2に単光子放出断層撮像(SPECT)用放射性核種であるIn-111を導入した[111In]CM2を放射化学的収率22%で作製した。しかし、[111In]CM2を水中で30分間静置後、HPLCにより放射化学的純度を測定したところ、[111In]CM2のほとんどが分解されたことが認められた。クマリン骨格の安定性に問題があることが示唆されたため、新規CA-IXリガンドとして以前に我々が見出したイミダゾチアジアゾールスルホンアミド(IS)をクマリンの代わりにDOTAに導入したDO3A-IS1を設計・合成した。[111In]DO3A-IS1を放射化学的収率51%で得た。[111In]DO3A-IS1はマウス血漿中で24時間後もほとんど分解が認められず、CM2からの安定性の向上が認められた。CA-IX高発現(HT-29)細胞および低発現(MDA-MB-231)細胞を用いた細胞結合実験を行ったところ、[111In]DO3A-IS1はHT-29細胞に対する選択的結合を示した。また、HT-29およびMDA-MB-231腫瘍移植モデルマウスを用いた体内分布評価では、HT-29腫瘍に対する選択的集積を示し、血液からの速やかな消失が観察された。[111In]DO3A-IS1を担がんモデルマウスに投与し、SPECTイメージング評価を行ったところ、HT-29腫瘍を選択的に描出することに成功した。以上の結果より、[111In]DO3A-IS1がCA-IXを標的としたSPECTイメージングプローブとして有用であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始後に計画を修正する必要があったが、代替の化合物を合成し、良好な結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きイミダゾチアジアゾールスルホンアミド(IS)を母核とした化合物の開発を目指す。単光子放出断層撮像(SPECT)用核種であるIn-111を導入したIS誘導体のCA-IXイメージングプローブとしての有用性が示されたことから、今後は、治療用核種であるY-90を導入した化合物を作製し、CA-IX高発現腫瘍に対する治療薬としての評価を行う。
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Research Products
(3 results)