2022 Fiscal Year Annual Research Report
微細構造物に対する高精度な線量計算法の確立により二次がんリスクの細分化を実現する
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19K17168
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒須 圭太 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい研究員 (60761400)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 二次がん / モンテカルロシミュレーション / テトラファントム / TBI / 高精度放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、放射線治療に付随する二次がんリスクを評価するためには、Schneiderらの提唱する線量応答モデルと、ボクセルを基礎とした人体内の線量分布データを組み合わせる手法が多く採用されている。しかしながらボクセルを基礎とした場合、皮膚表面などの流線形構造物やボクセルサイズ未満の微細構造物を表現することは難しく、計算精度に限界があった。そこで本研究課題では、人体の構造物を連続四面体形状により表現した場合における二次がんリスク評価方法の確立及び有効性の評価を目的としている。 ボクセル、連続四面体形状それぞれを基礎とした人体ファントムデータに対し、Total Body Irradiationを実施した場合の二次がんリスクを評価したところ、各臓器の受ける平均線量、Organ Effective Dose (OED)、及びExcess Absolute Risk (EAR) に差が見られた。平均線量とOED及びEAR間の差は線形応答を示さず、連続四面体形状を使用した場合はSchneiderらの提唱する線量応答モデルの影響を強く受けることが明らかとなった。一方で皮膚や乳腺、小腸など流線形の構造物に対するOED及びEARの差は小さく、従来のボクセルを基礎とした手法でも十分評価可能であることが示唆された。Stem Cellが存在し二次がんの発生源と考えられているTarget RegionのOED及びEARは、臓器全体のOED及びEARよりも低く見積もられ、従来手法が過大評価であることが示唆されたが、ナノスケールで存在するTarget Regionの評価値の妥当性については今後の検討課題である。
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