2020 Fiscal Year Research-status Report
リキッドバイオプシーを用いた肺癌個別化放射線治療の検討
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19K17174
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
北川 未央 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (30608922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺癌 / 放射線治療 / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、化学放射線治療を行う原発性肺癌患者に対して、DNA損傷修復や免疫チェックポイントに関連するタンパク発現を免疫組織染色によって調べ、末梢血リンパ球や血中に含まれるエクソソーム(細胞外小胞)に内包されるmRNAおよびmicroRNAの発現を解析し、放射線治療効果や放射線性肺障害を予測するバイオマーカー探索を行うことを目的としている。 2020年度は、肺癌化学放射線治療後に抗PD-L1抗体であるデュルバルマブ投与を行う7名の患者より、照射前、照射後に血液を採取し、血漿およびリンパ球などの試料を分離採取した。また、生検検体におけるDNA損傷修復タンパクおよび免疫チェックポイントに関わるタンパク発現の免疫組織染色解析や、対象患者の進行度等の臨床因子やDose Volume Histogram上で算出される肺V20やV5、Mean Lung Doseなどのパラメータと放射線治療効果、放射線肺障害との関連性についての解析を進めた。 これまで我々のグループでは、免疫組織染色を用いて腫瘍組織におけるDNA損傷修復に関わるタンパク発現と放射線治療効果の関係について研究しており、また、免疫チェックポイントに関わるタンパク発現と放射線治療効果についても報告している。これらのタンパク発現および血中の腫瘍由来エクソソーム内のmRNA/miRNA発現解析を組み合わせることによってで、独自性高くかつ簡便なバイオマーカーの探索が可能であり、肺癌に対する個別化放射線治療の実現を目指すことが可能と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID19流行もあり集積患者数が予定より異なっているが、7名の患者より血液を採取し、リンパ球のRNAおよび血漿を分離採取した。また、該当患者の生検検体におけるDNA損傷修復タンパクおよび免疫チェックポイントに関わるタンパク発現の免疫組織染色解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、患者集積を目指し血液採取を継続する。同時に分離した血漿およびリンパ球サンプルのRNA発現解析と、対象患者の臨床情報を収集し、放射線治療効果の予測因子に関連する生物学的因子の同定を進める。また次世代シーケンサーを使用したTCRレパトア解析によるTCR多様性との相関を検討する準備を進めている。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】 対象症例の集積を優先させており、研究計画に差支えないことを前提に、試薬や測定キットの購入を次年度に見合わせたためである。 【使用計画】 前年度に購入しなかった試薬や測定キットを購入し、研究計画を進める。
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