2020 Fiscal Year Research-status Report
Quantification of myocardial fibrosis in muscular dystrophy by cardiovascular magnetic resonance imaging and biomarkers
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19K17189
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
相川 忠夫 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (20795059)
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Project Period (FY) |
2020-03-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筋ジストロフィー / びまん性心筋障害 / 心臓MRI / T1 mapping / 細胞外容積分画 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋ジストロフィーに合併する心筋障害は予後規定因子として重要であり、筋ジストロフィーの保因者にも心筋障害を認める場合がある。心臓MRIの遅延造影は心筋障害を定量するゴールドスタンダードとして広く用いられているが、びまん性の心筋障害を検出できない場合がある。 そこで本研究では、筋ジストロフィーの患者および保因者に心筋障害の定量法として新しく開発されたT1 mapping法を含む心臓MRIを行い、心機能や心筋障害の進展範囲、重症度の評価を包括的に行うことで、筋ジストロフィーによる心筋障害を定量検出することを目指す。その他、心臓MRIで検出した心筋障害の定量値をゴールドスタンダードとして、心筋障害を検出可能な新たな血液バイオマーカーを探索し、その診断能を検証する。 まず筋ジストロフィー患者とその保因者である母親、健常ボランティアを対象に、T1 mapping法を含む心臓MRIを行い、心筋障害の定量評価と定量値の比較を行う。さらに心筋障害のゴールドスタンダードである遅延造影とT1 mapping法による心筋障害の定量値の比較を行う。経時データが得られた場合には、心臓MRIや血液バイオマーカー経時的な心収縮能低下を予測可能かどうかについても検討する。 本研究により筋ジストロフィーによる心筋障害を確実に検出・定量する手法を確立することができれば、筋ジストロフィーによる心筋障害の進行に応じた薬物治療の至適開始時期の設定や、こららの薬物治療効果の予測などにも応用可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに筋ジストロフィー患者6名とDuchenne型/Becker型筋ジストロフィーの推定保因者5名に対して、T1 mappingを含む心臓MRIを実施した。患者6名はいずれも男性で、年齢の中央値は16.0歳であった。推定保因者5名の年齢の中央値は46.0歳で、左室駆出率は4名の患者と1名の推定保因者で55%未満に低下しており、遅延造影MRIでは4名の患者と2名の推定保因者に心筋障害を反映した異常増強像を認めた。一方、左室全体のECVは患者群で34.8%(範囲:27.6%~43.8%)、推定保因者群で37.4%(範囲:36.1%~39.8%)であり、5名の患者と全ての推定保因者で過去に報告されたECVの正常上限値(30.4%)より上昇していた。以上から、びまん性心筋障害を反映したECV上昇は筋ジストロフィーの患者および推定保因者の両方に認められた。遅延造影MRIで異常増強像がなくともECVが上昇している症例もあり、ECVは遅延造影MRIよりもより正確に心筋線維化を反映した指標である可能性が示唆された。これらの結果について論文化した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響および研究代表者の所属施設の変更により前向きの研究対象者組み入れが困難になったために、倫理審査委員会の承認を得て過去の心臓MRIデータの解析を進める予定である。また過去の心臓MRIデータをストレイン解析可能なワークステーションが利用可能になったために、これらの追加解析でより正確にびまん性心筋障害を定量する方法について検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により学会がWeb開催となったために、旅費として使用する支出分が減額になった。これを次年度の画像解析費用および論文投稿費として充当する予定である。
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