2021 Fiscal Year Research-status Report
膵臓がん細胞株Panc-1における IL-6による放射線抵抗性獲得機構の解明
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19K17195
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
玉利 勇樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20794944)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インターロイキン6 / 放射線抵抗性 / STAT3 / mTOR |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の過去の研究によりインターロイキン6(IL-6)による放射線抵抗性獲得はγ線照射後のミトコンドリア由来酸化ストレスを抑制することにより引き起こされるということが明らかにされた。本研究はIL-6による酸化ストレス抑制を介した放射線抵抗性獲得の詳細なメカニズムを調査することを目的とする。細胞はヒト膵臓がん由来細胞株Panc-1を使用した。4GyのX線照射または解析の24時間前にrecombinent IL-6(rIL-6)を投与した。Panc-1によるIL-6の産生量を調べるためにELISA法を用いた。また、IL-6による放射線抵抗性獲得について調査するためコロニー形成法を行った。さらに、ウエスタンブロット法により、IL-6下流のタンパク質発現量を確認した。その際にラパマイシンを使用しmTORのIL-6シグナル経路への関与を調査した。ミトコンドリア内活性酸素量及びミトコンドリア膜電位についてはそれぞれ蛍光プローブであるMitosox RedおよびJC-1を使用して計測した。ELISAの結果、Panc-1ではIL-6の産生がかなり少なかった。しかし、rIL-6を投与した場合にX線を照射した後の生存率は有意に増加した。rIL-6を投与した際にSTAT3の強い活性化が示され、これはmTOR阻害剤であるラパマイシン投与により抑制された。ミトコンドリア内活性酸素量はX線照射により増加したが、rIL-6の投与により抑制された。 しかし、ラパマイシンの投与はIL-6の効果を中和した。 一方、X線照射によるミトコンドリア膜電位の低下はrIL-6により抑制された。 ミトコンドリア膜電位については、mTORを抑制することでIL-6の効果を打ち消した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染症再拡大に伴い、感染対策としてテレワークを行ったことや実験機器の故障による実験の遅延が理由として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度内の論文採択のためにNAD/NADHやピルビン酸の測定を行い、投稿後は適宜追加実験を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度内にコロナウイルス感染症再拡大に伴うテレワークや実験機器の故障による研究進捗の遅延により、実験に遅延が生じ次年度への延長申請を行った。 論文投稿へ向けての実験費用や論文投稿費、今年度の日本放射線影響学会の参加費、追加実験費用に使用予定である。
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